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中小・個人塾のマーケティング論
[16]友人紹介の後ろめたさを消す

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森智勝氏

紹介制度についての後半です。

今から10年以上前のことですが、某週刊誌が某大手塾の紹介制度について取り上げ、大きな話題になったことがあります。曰く「塾生にセールスを強要する塾」、曰く「友人勧誘マニュアルが存在し、授業中に勧誘方法を説明する教師たち」…実際のところは承知していませんが、少なくとも好意的な記事でなかったことは確かです。その記事の中に、「友人を紹介すると謝礼として図書券〇千円分が貰え、中には数千円分の図書券をゲットする強者も」という記載がありました。当時(今でも?)、友人紹介の謝礼に数千円分の金券(図書券・文具券等)を渡す塾は一般的でした。そのことが非難の的になったのです。私も、マーケティングの観点から謝礼の金券には反対しています。なぜなら、後ろめたさを生じるからです。

3,000円の図書券欲しさに友人を紹介したとは思われたくない…

あなたの塾生は「あなた」が好きで、「あなたの塾」が好きです。そんな塾を友人に自慢したい、紹介したいと思っています。しかし同時に、「図書券欲しさに紹介していると思われるのではないか」という危惧を持っています。この後ろめたさが友人紹介にブレーキを掛けています。

前回にお話したように、利益が生じる顧客の紹介は(形式上)顧客である保護者にするべきであり、謝礼も保護者に渡すべきです。それも後ろめたさが生じない品にしたい。金券は金額が明らかなので、どうしても後ろめたさと表裏一体になってしまいます。また、図書券は子どもの読む少年ジャンプに化けるだけなので、保護者から好意的には捉えられません。

想像してください。母親同士の井戸端会議で「うちの子が通っている塾、友人を紹介したら図書券3,000円分くれたのよ」と話すでしょうか。普通の母親は言いません。

ある塾の例です。その塾は紹介制度を「親孝行キャンペーン」と銘打って、友人紹介の謝礼に「お米〇㎏」を贈呈しました。これなら「うちの子が通っている塾、友人を紹介したら米を贈ってくれたのよ」と言い易くなります。笑い話になります。そこに後ろめたさはありません。

図書カードは扱いも楽ですし、生徒には「鬼滅の刃が買える」と喜ばれるかもしれません。ちゃんと理論武装さえすれば、謝礼として完全否定するつもりもありません。しかし、そこで思考停止になるのは避けたいものです。紹介制度を自塾の活性化につなげる知恵を働かせてほしいのです。

例示を続けましょう。

ある塾は春の紹介キャンペーンで、「友人20人紹介で家族4人、ハワイへご招待」を打ち出しました。B紙に手書きで作った大きなポスターを掲示して。塾生たちは騒ぎました。「先生、嘘やろ~」と。ここまで突き抜けたオファー(謝礼)を提示すると、後ろめたさも吹っ飛びます。私は紹介キャンペーンを明るく、楽しく、イベントのように実施することをおススメしています。また、少し計算すれば解るのですが、本当に20人の紹介が得られたなら、4人をハワイ旅行に招待しても充分なお釣りが来ます。

紹介制度とは違うのですが、ある英会話塾は「中学生のうちに英検2級に合格したら2週間のニュージーランド語学短期留学にご招待」を打ち出していました。聞けば、過去に二人だけ該当者がいるとのことでした。30年近い営業期間で二人です。それでも地域では「英語を頑張れば語学留学に連れて行ってくれる塾」として評判で、100名以上の生徒が通っていました。広告宣伝費と考えれば、費用対効果は充分です。

塾というビジネスにおいて、「紹介」は必須の顧客獲得手段です。しかし、「よい授業をしていれば自然と口コミ・評判が広まって、紹介客が集まってくる」と考えるのは早計です。今の時代(塾業界が縮小均衡している時代)は、塾が積極的に仕掛けを打つ必要があります。

ぜひ、自塾の紹介制度を見直してください。

 
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