ジングルベルが街中に鳴り響く12月、皆さんは冬期講習の準備に大忙しのことでしょう。大手塾の中には既に、来年度入塾者を対象とした公開説明会を開いたところもあります。「塾の季節」ですね。冬期講習と並行して来年度の準備を怠りなく。中小・個人塾は、経営者の「あなた」が一人何役もこなさなければなりません。日々の忙しさに没頭していると、重要なことが先送りされる恐れがあります。ご注意を。
話題は変わるのですが、「マヤ歴の予言」が話題になっています。マヤの予言によると、今年(2012年)の12月22日(日本時間の23日)に世界が滅亡するらしい。まあ、ノストラダムスの大予言が外れた後に出てきたオカルト予言です。
「もし、本当にあと1ヶ月で世界が滅びるとしたら、何をする?」という他愛もない会話が、居酒屋のあちらこちらで聞かれるらしいのですが、こうした問いは自己啓発の世界では頻繁に出される問いです。
「もし、あと3日で人生が終るとしたら、あなたは何をしますか?―その答こそ、あなたが今、すべきことです」
まあ、こんな感じです。一見、優れた設問のように感じますが、私は「?」です。
そんな刹那的思考で誰もが毎日を生きていたら、世の中はカオスの状態になってしまいます。我々は明日も10年後も50年後も生きていると仮定して、そのために今、何をすべきかと考えるべきです。
よく、「やりたいことをやって、後悔なく死んでいきたい」と言いますが、私の考えは逆です。そんな、やり切って死を待つだけの余生を送りたいとは思わない。いつまでも、あれもやりたい、これもやりたい。まだ死にたくない…そう思いながら死を迎えたい。私は天邪鬼でしょうか。
あなたはどちらの考え方で生きますか?
冒頭の、「日々の忙しさに没頭していると…」も、実は同じ命題を含んでいます。人は、「今、しなければならないこと」と、「5年後、10年後のためにしなければならないこと」の両方を複眼的に考える必要があります。それが出来るのは、全ての生き物の中で人間だけです。私はビジネスも同じだと考えています。今日の授業も大事ですが、10年後の授業も大事です。それは、優先順位を論じる問題ではありません。「どちらも大事」…それが結論です。昔、塾経営をしていた頃、授業には熱心で定評はあるが、教室の整理整頓ができない教室長がいました。私が毎日掃除をするように命じると、「掃除よりも授業の方が重要です」と食って掛かります。経営者としてホトホト困ったものです。物を単眼でしか見られないのです。
世間を見てみると、こうした単眼思考の人が多いことに気付きます。例えば、塾の冬期講習を批判する人は「勉強よりも大切なことがある。家族と一緒の時間を過ごすことは重要だ」などと主張します。家族と一緒の時間を過ごすことが重要なことに異論はありません。しかし、だからと言って冬休み、勉強しなくていい理由になるとは思えません。やっぱり、「どちらも大事」なのです。我々教育者は、そうした真理を分かりやすく(私が言う理論武装して)保護者に、生徒に伝えることが必要です。
だから、あなたにも訴えます。冬期講習、受験対策が重要なことは言うまでもなく大事です。だからと言って、来年度の準備を怠って良い理由にはなりません。「どちらも大事」…お忘れなく。