いよいよ節電の夏が始まりました。地方によっては昨年以上の節電が求められているようです。多くの塾生を教室に集めて家庭を空っぽにすることで、節電に大いに貢献しましょう。
国会では「税と社会保障の一体改革法案」が衆議院で可決されました。いよいよ消費税10%が現実のものになりそうです。中小・個人塾にとっては死活問題です。例えば2,000万円の売上があった場合、約100万円の消費税(簡易課税方式の場合)を納付しなければなりません。確かに、それは「客」から預かった税には違いないのですが、預かり金として分けている塾は少ないでしょう。納付時に資金ショートをして蒼ざめる?人が多くなりそうです。今から「その時」を想定しておくべきでしょう。ちなみに、納付が遅れたときの延滞金は、年利14.5%という「サラ金レベル」です。くれぐれもご注意を。
ところで、民主党が分裂しました。離脱したグループの主張は、「国民に嘘はつけない」というものです。前回の総選挙に提出したマニュフェストで約束したことが実行できていないというのが、その理由です。「政治家の公約は嘘だらけ」というのが常識になっているようです。ただ、塾経営に置き換えた場合、深刻な問題を示唆しています。
以前、とある大手塾幹部の講演で教えていただいたのですが、退塾の理由を調べたところ、「成績が上がらない」よりも「先生が約束を守らない」が上位に来ているというのです。
塾教師は、さまざまな約束を生徒としています。ところが、気付かぬうちに「約束を破っている」と言うのです。例えば、「じゃあ今度、○○のプリントを用意するね」と言ったとします。それをコロッと忘れて次の授業を迎えてしまいます。生徒に指摘されて気付き、「悪い、今度は必ず用意するから…」と、結構気軽に?スルーしてしまいます。中には、「今度と言ったけれど、今週とは言っていない」と強弁する教師すらいます。生徒からの信頼を失う瞬間です。教師としては「1つの約束を守れなかった」くらいの認識ですが、例えば生徒が20人在籍していた場合、それは20の約束を破ったことになります。
何度も遅刻を繰り返す生徒に対して、「今度遅刻したら退塾させるぞ!」と怒りに任せて恫喝する教師がいます。しかし、再び遅刻したからといって退塾させることはありません。それを見ていたクラス全員が思います。「この先生は言ったことを守らない…」
すると、次はこうなります。「この先生の言うことは信用できない…」
こうして信頼を失い、退塾につながります。
「守れないことは言わない。言ったことは必ず守る」
それが重要であり、塾の規律を作ることになっていきます。
教師が「たいしたことはない」と思っていることの中に、大きな火種の危険性が潜んでいます。
夏期講習の授業にも危険性が潜んでいます。以前もお話したことですが、受験学年以外の場合、どうしても雰囲気が弛緩しやすい傾向があります。もし、その中に外部生が参加しているとすれば…塾の評判を落とす原因になります。どうしても冬期と比較して、(暑さのせいもあって)夏期は緊張感に欠ける授業になりやすいものです。指導者側が意識して臨む必要があります。
夏休み直前に、(全体)保護者会を企画している塾も多いことでしょう。せっかくの休日にわざわざ教室まで足を運んだ保護者を「がっかりさせて帰すこと」がありませんように。「ぐったりと疲れさせて帰すこと」がありませんように。保護者会の一義的目的は、「夏休みの過ごし方」であったり、「受験に向けた取り組み」であったりするのですが、それと同時に「塾の評判作り」という大きなテーマも存在します。説明に汲々とするあまり、相手(保護者)が見えていない場合があります。「休みの日に教室まで足を運んで良かった」と思ってもらえる保護者会を実施してください。コツは、塾側が伝えたいことばかり話すのではなく、参加者が聞きたいことを話すことです。保護者は、どんな話を聞きたいと望んでいるでしょうか。想像力を働かせてください。
塾の評判は、単に合格実績や定期テストの結果だけで作られるのではありません。教師の何気ない言動や、日々の授業の積み重ね、そして保護者会でのパフォーマンスにも大きく関わってきます。常に、相手の目や耳を意識することです。感動は、「相手の立場を慮(おもんばか)る想像力」によって作られます。
暑い夏をより熱く!