森智勝氏
以前も、このメール・セミナーでお話したことがあるのですが、塾業界、特に中小・個人塾において、会議の重要性を認識していないところがあります。たとえ、従業員が数名でも会議は必要です。これまで断片的に述べてきた「会議の方法」についてまとめてみます。
会議は何のためにやるのでしょうか。
もちろん、報告・連絡・相談、いわゆる「報連相」の場であることは間違いありません。しかし、それだけに会議を使うのはもったいない。会議にはもうひとつ、重要な役割があります。それは、従業員のモチベーションを高める場だということです。全てのスタッフが塾の運営に関わっているという自覚と責任を持たせ、高いモチベーションを維持するための基点となるのが会議です。
多くの従業員が会議の日を憂鬱に迎え、会議終了後は更に憂鬱になる…それでは意味がありません。「さあ、今日は会議だ!」と誰もが意欲満々に通勤し、会議終了後はますます前向きになっている…そんな会議をしている塾(企業)は例外なく業績を伸ばしています。
失敗している会議の例を挙げてみます。
- 塾長の演説会に終始してしまう。
- 意見を求めても誰も発言しない。
- 各教室からの報告に終始する。
- 枝葉末節な指摘だけが飛び交う。
- 意見を出し合っても、結局、何も決まらない。
- 会議が定例になっていない。
会議とはより多くの意見・アイディアを出し合い、より良いもの(企画)に練り上げていく場です。そのためには、次の工夫をして下さい。
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会議で取り上げるテーマを細分化する
「塾生を増やすアイディア」を求めても、テーマが大きすぎて具体策を考えることが出来なくなります。「保護者の目を惹くキャッチコピー」のように、誰もが具体案を考えることの出来る「小さなテーマ」にすることです。
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テーマは事前に予告する
話し合うテーマは予告して、参加者それぞれが意見・アイディアを事前に考える時間を与えます。その場で提出された課題に対しては、文字通り「その場凌ぎ」の意見しか出てきません。
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会議の冒頭に終着点を確認する
上記の例で言えば、「30分後、キャッチコピーの候補を3つに絞り込む」と、事前に終着点を参加者全員で確認します。そうしないと話が右往左往して、結局、何も決まらないまま時間切れを迎えてしまいます。
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司会者は立って議事を進行する
司会者は、提出された意見をホワイト・ボード(黒板)にメモしながら、立って議事を進行します。これは、場の空気がこわばることと、話が脇道に逸れていくことを防ぐ効果があります。
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会議の参加者は8名未満にする。
本来、参加者が増えれば増えるほど多くの意見が集約できるように思うのですが、8名を越えると、逆に意見が言いにくくなり、議論が停滞します。特に、新企画を立ち上げる時は数人の担当者を決め、まずは叩き台となる案を作らせるところから始めてください。
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出てきた意見を絶対に批判しない。
若手の意欲を奪い、大人しくさせるのは簡単です。彼の意見に対して、「そんなアイディアしか出ないのか」と一言言えば、確実に黙り込みます。しかし、それでは組織の活性化は図れませんし、会議の趣旨に反します。誰もが活発に意見を出し合える雰囲気作りが絶対に必要です。
塾業界は労働力集約型産業の典型です。「人」が財産です。ぜひ、会議を通して組織の活性化を図り、スタッフ全員が活き活きと働ける職場作りをして下さい。(お勧め図書:宇井克己著「結果を出し続けるチームは会議で何を話し合っているか」)