モリモリ元気レポート[42] -つむぎクラブ掲載文より

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森智勝氏

夏休みも終わり、塾の現場では後期が始まりました。これからの1日1日が来春の集客に直結します。頑張って下さい。

夏休み中の話題と言えば、やはり北京オリンピックでしょう。北島康介選手の2種目連覇、女子ソフトボール悲願の金メダル…と、今回も感動の場面が数多くありました。反面、星野ジャパンの惨敗?という残念な結果もありましたね。今回は、星野ジャパンの敗因を通して塾経営を考えてみたいと思います。

多少、野球をかじったことのある私にとって、今回の結果は残念至極というしかないのですが、原因は「星野監督のこだわり」にあったと思うのです。辛辣に言えば、彼は自らのセルフ・マネージメントにこだわるあまり、冷静な判断ができなかったということです。

「星野仙一」と聞いて、ほとんどの人が抱くイメージは「燃える男」「男気」「闘将」…等々ではないでしょうか。それは、彼の生まれ持つ資質ではあるのでしょうが、多分に自分の商品価値を高めるためのセルフ・マネージメントによって作られた部分もあるように思います。

昨年のアジア予選を全勝で突破した星野監督は、それ以降、「予選メンバーを優先して選考する」と明言していました。いわゆる「星野一家」の親分肌を全面にアピールした形です。今期絶不調の上原投手、故障が深刻だった新井選手、川崎選手、直前まで入院していた村田選手もメンバーに選びました。結果はご存知の通り。新井、川崎両選手は疲労骨折が発覚し、村田選手は放ったヒットがわずかに2本。打率1割にも満たないという成績でした。上原選手も登板したのは2イニングのみ…。

選手選考は「戦略」の部分ですが、「戦術」でも「こだわり」が仇(あだ)となりました。象徴的なのが岩瀬投手の起用法です。正直、準決勝の韓国戦、同点の8回に岩瀬投手が登板したことに唖然!とした日本人は多かったと思います。(もちろん、私もその一人です。)それまでも投げる度に「メッタ打ち」にあっていたにも関わらず、「それが俺のやり方」(試合後星野監督談)で登板させたのです。岩瀬投手の実力や実績は評価しますが、短期決戦では調子の良い者を優先して起用するのが鉄則です。星野監督は鉄則よりも自らの信念を優先させたのです。

もちろん、全ては結果論です。もし、金メダルを取っていたなら、星野監督は日本のヒーローと称えられたことでしょう。しかし、結果で評価されるのはプロの宿命です。今、日本中に吹き荒れている星野批判を、彼は甘んじて受け止めていることでしょう。

さて、「結果が全て」という点ではビジネスも同じです。自らの美意識を守ることは尊いとは思いますが、結果(売上、利益)が伴わなければ意味がありません。また、美意識の強い人は、ややもすると不調の原因を他者に求めがちになります。曰く「不況が…」「少子化が…」「教育意識が…」等々。これではプロとは言えません。実は、星野監督が非難されている原因は、成績不振そのものよりも、試合終了後に語った「審判が…」「昼間の試合が…」が言い訳に聞こえたことによります。

私はアマチュアならば自分の美意識にこだわることは当然だと思います。しかし、プロならば…。

さあ、塾経営者というプロの皆さん、あなたはどちらを選択しますか?誤解のないように言い添えますが、私は「こだわり」そのものを否定するつもりはありません。ただ、プロは、それを結果に結びつけて初めて意味があると思うのです。料理人は「こだわりの味」で勝負していますが、誰も「美味い」と言わない「こだわり」ではプロとして成立しないということです。一度、自らのこだわりを捨ててみて下さい。そこから見えてくるものがあるはずです。その上で、こだわりの重要性を再認識した時には、もう一度纏(まと)えば良いのですから。

 
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