前回「決断」の重要性について述べましたが、それに関わる次のような体験がありましたのでご紹介します。
私が主催する塾経営者勉強会(塾生獲得実践会)に加盟している塾で№2(副塾長)として働いていた方がA地区で今春、独立をしました。その話をセミナーに参加されていた「教材ソフト販売会社」の社長に伝えたところ、早速、その場で挨拶の電話をし、お祝いの観葉植物を送りました。実は元の塾は教材ソフト(多分総額500万円程度)を購入していた優良顧客だったのです。社長とすれば、そこの№2が独立したのですから、新しい顧客開拓になると思ったのでしょう。
2週間後、今度はA地区でセミナーがあり、私は翌日、その独立した塾を訪問する予定でした。教材ソフトの販売会社はセミナーには社長ではなく、課長と若手が一人来ていました。話を聞いてみると、彼らも翌日は社に帰らず、近くの塾(既存顧客)を見学に訪問する予定だと言います。私は、翌日の予定を伝え、よければ一人、一緒に訪問しないかと提案しました。こんな遠くまで来る機会はなかなかなく、挨拶兼営業に行くチャンスだと思ったのです。
課長も「もっともだ」と思ったようなのですが…ここからが本題です。彼(課長)はおもむろに携帯電話を取り出し、社長に連絡を取り始めるのです。ところが日曜日だったせいか、社長と連絡がつきません。結局、彼らは二人揃って予定通り顧客の塾へ行くことに…
私は不思議に思いました。よっぽど大切な訪問ならいざ知らず、単なる顧客訪問です。二人で来ているのですから、顧客塾行きは一人にして、一人は新規顧客開拓に回るのは営業として当然のことだと思ったからです。いえ、課長も思いは同じだったようです。ところが、そんなことすら社長の許可を求めないと決断ができない。そこが問題です。
日頃の社長の教育が悪いのか、決断力のない課長が悪いのかは分かりませんが、どちらにせよ、この会社は数百万円の売上を逃したことは間違いありません。
司馬遼太郎は著書の中で信長を評して次のように言っています。
「信長は部下の独断専行を嫌うが、独断専行しない部下も嫌う」
あなたの社員は「決断力」を身につけていますか。それともあなたの操り人形ですか?
さて、いよいよ夏期講習ですね。暑さと忙しさで大変な時期です。健康に留意しながら頑張ってください。全国的に春の集客(移動)が鈍かったということは…夏はチャンスですよ。