モリモリ元気レポート[117] -つむぎクラブ掲載文より

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森智勝氏

かつら製造・販売の最大手「アデランス」(東京)の店長だった男性従業員から繰り返しセクハラを受けて心的外傷後ストレス障害(PTSD)を発症し、退職を余儀なくされたとして、兵庫県内の店舗に勤務していた元従業員の女性が同社に計約2,700万円の損害賠償を求めた訴訟があり、同社が女性に解決金1,300万円を支払うなどの内容で和解しました。

あなたは、こんなバカな行為はしないと思いますが、最近は「○○ハラスメント」が大流行です。セクハラだけではなく、パワハラ、マタハラ(マタニティハラスメント)やモラハラ(モラルハラスメント)なんて言葉も飛び交っています。

特に、モラハラは塾の現場でも横行する危険性が非常に高い。モラハラとは、相手の人格否定をして傷付ける行為です。「お前は人間失格だ」なんて言葉が代表のようですが、それに類似した言葉は塾の現場に溢れています。

「こんなことも出来ないのか」
「何度言ったら分かるんだ」
「どうせ無理だからやめておけ」
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言った講師は深く考えていないかもしれませんが、この問題が深刻なのは、言った本人の意識ではなく、言われた相手の意識で罪が「認定」されてしまうところにあります。「まだ結婚しないの?」は完全なセクハラだそうですが、それも受けての意識次第です。

あなたは生徒の奮起を促すつもりで言ったとしても、相手(保護者)から「先生の物言いでPTSDになった」と訴えられる危険性があります。怖い世の中になったものです。許容範囲が狭く、スグに傷付け、スグに傷付くひ弱な社会です。しかし、それが現実です。

生徒との関係もそうですが、塾の現場では若い女性教師、バイトの女子学生にも注意が必要です。あなたは場を和ませようと、気の利いたジョークを言ったつもりでも、相手は違った受け取り方をしているかもしれないのです。そしてその場合、圧倒的に「あなた」が不利な立場に追い込まれます。何度も言いますが、発言者(行為者)の意志ではなく、受け手の意志で認定されるのが現在のハラスメントです。

和解金の額にも驚きです。アメリカは桁違いですが、それでも1,300万円とは…。

かつて、痴漢被害を装った詐欺事件が多発したことがあります。車内で気の弱そうな中年男性の手を掴み、「この人、痴漢です」と騒ぐ。警察に連れて行かれると「認めたらスグに解放されるが、否認するなら拘束して会社にも連絡する」と言われ、仕方なく罪を認めてしまいます。すると…「示談金として30万円払え」とコワ~イお兄ちゃん(お姉ちゃん?)がやってきます。「俺はやっていない」と主張しても後の祭り。警察で認めてしまった後です。絶対に勝てません。

あっ、もちろんセクハラは犯罪です。あなたの塾で、そんなことが起こりませんように。

 
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