モリモリ元気レポート[116] -つむぎクラブ掲載文より

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森智勝氏

明けまして、おめでとうございます。今年もよろしくお付き合いください。

この冬は例年になく大雪の到来が早く、各地で被害が広がっているようです。豪雪地帯にお住まいの方に心よりお見舞い申し上げます。私が住んでいる名古屋も12月に23㎝の積雪があり、交通機関がマヒしました。都会のひ弱さを感じずにはいられません。そんな中迎えた年明け早々、独立開業を考えている方の相談を受けました。わざわざ名古屋まで訪ねてくるくらいですから真剣です。彼が言うには、「独立に際してFCを利用しようと考えたが、調べれば調べるほど分からなくなってしまった」とのこと。確かに同じFCに加盟していても、100名集めている教室もあれば数名しか集まらずに早期閉校に追い込まれたオーナーもいます。ここに塾というビジネスの難しさ、そして面白さがあります。

同じFCでも、例えばコンビニなどは扱っている商品に差はありません。どこのコンビニでも同じ缶コーヒーを同じ値段で購入することができます。結果、ほとんどの場合、立地で決まります。立地が重要という意味では塾も同じですが、塾の成否はそれだけでは決まりません。扱っている商品が店(教室)によって違うからです。同じカリキュラム・同じ教材を使用した同じ価格の「学習指導」でも、厳密に言えば教室によって違う商品を提供しています。前述した「同じFC塾でも教室によって売り上げが大きく違う」という事実が、それを物語っています。では、塾の成否(売り上げの多寡)は何で決まるのでしょう。

もちろん、様々な要素が絡み合っていることを承知の上で乱暴に断言するのですが、私は「人」だと考えています。FCに加盟して成功する人は、FCに加盟しなくても成功する。集団指導塾で成功する人は、個別指導塾でも成功する…私はそう確信しています。問題は、どんな「人」が成功するかです。

これも乱暴な仕分けですが、「依存する人」ではなく「利用する人」です。FCに加盟しているオーナー(塾長)から最もよく聞かれるセリフは、「本部(スーパーバイザー)が何もしてくれない」です。多額の加盟金を払い、少なくないロイヤリティを収めているオーナーからすれば、文句の一つも言いたくなる気持ちは痛いほど分かります。私もかつて、某FC本部事業(塾ではありません)を手伝った経験がありますので、加盟店の辛さは知っています。しかし、それでも尚、本部に依存しているうちは上手くいかないことを指摘せざるを得ません。FCに加盟して成功している人は、例外なく「FCを上手に利用している人」です。

「本部が言う通りにしているのに上手くいかない」…これも良く聞かれるセリフです。その辛さも充分に理解するのですが、それでも「本部が言う通りにしているということは、それ以外のことは何もしていないのと同じですよ。それでは上手くいくはずがないですよ」と…やっぱり酷な指摘でしょうか。

塾に限ったことではないのですが、「経営者」はそれだけ厳しい立場であり、その分、有形無形の見返りも大きいのです。

別の言葉で表現すると、「信頼する人」と「信用する人」の違いでしょうか。良く似た言葉ですが、真逆の意味を有しています。「信頼」とは信じて頼ることであり、妄信につながります。それに対して「信用」は信じて用いることであり、そこには冷静な見極めや判断力が必要です。自らは周りを信用し、周りからは自らを信頼させる力(パワー)が経営者には必要です。

そして何よりも、ビジネスに対する情熱です。塾で言えば、教育に対する情熱と経営に対する情熱の両方が必要です。我々は経営者であり教育者です。一見、相反する二つの情熱を両立させて持ち続けることが重要です。「人は理屈で納得はするが、情熱がなければ動かない」という原則があります。あなたの情熱がスタッフに伝わり、スタッフは行動します。あなたの情熱が生徒に伝わってはじめて、生徒は学習意欲を向上させます。

結局、「人」なのです。塾の経営体質を変えたければ、あなたが変わることです。大丈夫です。他人を変えるのは難しいですが、自分を変えるのは一瞬で可能です。

塾業界では3月、あるいは4月をもって「真の正月」と考えているかもしれませんが、新年を迎えた今、心を新たに「新しい自分」を意識してください。経営者にとって最大の敵は惰性です。

新年早々の塾経営相談を受けて思ったことを年頭所感に替えてお伝えしました。2015年が、あなたと貴塾にとって最良の年になりますことを心から祈念します。

 
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