モリモリ元気レポート[10] -つむぎクラブ掲載文より

写真
森智勝氏

夏期講習、お疲れ様でした。暑かった日々も朝夕には涼しさが訪れ、あらためて四季(梅雨を入れると五季?)を持つ日本の「季節の短さ」を感じずにはいられません。同様に塾の現場でも既に次のステージが待っています。来春の募集戦略は9月から始まります。受験に向けての取り組み(例えば受験対策土日講習)と平行して「集客の仕組み」の見直しを始めてください。

さて、8月26日の「つむぎNEWS」で高校野球の不祥事について取り上げていましたね。大会直前に明徳義塾が不祥事によって出場辞退し、大会直後には優勝した駒大苫小牧校の不祥事が発覚。正に前代未聞。特に前者の場合、かつて星稜高校の松井選手(現ヤンキース)に対する五打席連続敬遠という過去を持ち出して「勝利至上主義」に対する批判が噴出しました。開会式では「野球留学」に関する批判を文部大臣が述べるという異例の事態です。

ところで「勝利至上主義」は本当に悪いことでしょうか。アマチュア野球の場合、勝利したからといって得るものは基本的に何もありません。プロは「お金を取って見せる」ビジネスですから、観客の望まない敬遠は避けるべきです。(タイトル争い渦中の敬遠合戦ほど興醒めするものはありません。)しかし、アマチュアスポーツの意義は体力の向上と人格の育成にあります。それは唯一「勝利」という目標を目指す中で達成されるのです。ルールにのっとった戦術が非難されるいわれはありません。

また「留学」についてもなぜ野球だけが非難されるのでしょう。卓球の愛ちゃんは青森へ、ゴルフの藍ちゃんは宮城県へ高校時代に留学しています。サッカーのカズ(三浦選手)は15歳でブラジルに渡ったことは有名です。また、灘高やラサールなどの有名校へ「勉強留学」する子供も数多くいます。つまり、今回の非難はダブルスタンダードなのです。私はスポーツであれ学問であれ、子供たちが夢の実現のために「冒険に出ること」はけっして悪いことだとは思いません。

もちろん、不祥事を金銭で揉み消したり選手獲得に金銭が動く「エセ勝利至上主義」は非難されるべきです。同様に塾が進学実績を作るために受験料等を負担して子供に遠隔有名校を受験させることも当然、非難の対象です。

以上は「私の見解」です。こうした問題に唯一の正解はありません。しかし、世間に注目されている事件について「あなたの見解」を塾生や保護者に伝えていくことは重要です。そこに塾の理念や方針が見えるからです。技術は大切です。しかし、人は技術に魅せられる(感動する)ことはありません。メジャーリーグへ行った松井選手のホームラン数が減ったからといってファンを辞めた人はいないはずです。その背景にある理念や方針が伝わったとき、初めて人は感動します。ぜひ、あなたの理念を地域へ伝えてください。それが「募集戦略」の第一歩です。

 
© 2015 全国学習塾援護会 / 塾生獲得実践会