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【新連載】「『教える』って何?」講座(1)
「はじめに」

中平徹也氏

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私は現在、個別指導専門塾S.T.E.P.個別教育システムの一員であり、講師としては数学や物理を指導していますが、主としては専務として裏方の仕事(主に商品開発やマニュアル作成)を行っています。しかし実は、S.T.E.P.以外に2つの仕事を持っています。1つは龍谷大学理工学部・同志社女子大学薬学部で非常勤講師として物理を教えています。そして2つめは大手予備校の物理講師でもあります。河合塾で7年間、現在では代々木ゼミナールやECC予備校で物理を担当しています。さらに、弊社を倉本と設立する前は、京都の某大手進学塾で小・中学生に数学や理科を教えていました。自分で言うのもなんですが、地域密着型で1クラス10名~50名の大手進学塾、全国区で1クラス100名以上の大手予備校、大学、そして個別指導と、ほとんどの年齢層や指導形態を経験しています。大抵の講師が中学受験専門とか予備校のみとか1つの形式に特化するのにかかわらず、幅広い経験をしているのが私の強みです(節操がないともいいますが…)。これだけいろいろな現場に立っている私だからこそお話できることがあると思い、今回の執筆を決意しました。

考えてみると当たり前のことですが、高校受験生と大学受験生は違います。中学生への教え方と高校生のそれとも違います。また、個別指導塾に通う生徒と大手予備校に通う生徒もちがいます。ですから同じ内容を同じ学年に教えるとしても、講師1人が生徒1人の個別指導塾の授業と、生徒100人の団体授業では言葉遣いや表現の方法が違います。例えば個別指導なら生徒の表情や理解度をいち早く把握し、授業進度に反映することに重きを置くのですが、生徒100人の場合はどれだけこちらの話に引き込み、やる気を引き出すかに重きを置いて授業を展開します。

どの教育環境がいいかということではありません。全ての教育環境には特徴があり、一長一短です。生徒の向き不向きもあります。教え方もカリキュラムの設定も違います。さらには、めまぐるしく変化する時代の中で、それぞれの教育環境は流動的に変わっていきます。そして時には大きな障害も出てきます。例えば、ご存知の通り、生徒数が減少しているために大学に入りやすくなり、そのため大学生全体として学力低下が起こっています。実際私が大学で担当している「物理学序論」はもともと「高校時に物理を選択しなかった学生が、大学の物理を学ぶにあたり、ある程度の知識を半年間で構築する」という発想からできた講義なのです。分数ができない大学生は決して誇張表現ではありません。

ところで日本の大学は世界的にみて決して高くはなく(東京大学で世界の30位前後)、大学のレベルを上げるような政策を打ち立てられているのはご存知の通りです。その結果、大学入試はセンター試験7教科入試導入など、受験生への負担を増加する傾向にあります。ところが、小・中・高ではゆとり教育という政策のもと、カリキュラムの減少・易化の傾向にあります。このため大学と他で大きな溝が生じます。この溝を埋めるのは生徒自身に他なりません。しかしながらこの溝を生徒の自立学習だけで補うのはほとんど不可能です。結局予備校や学習塾の門を叩くことになります。ですから予備校や学習塾ではカリキュラムやシステムをよりよいものに改善し、また実際に指導にあたる講師はより質の高い指導をする必要があります。

このような背景の中で、実際に私が見た現場や、工夫などをお話していきたいと思います。

 
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