モリモリ元気レポート[99] -つむぎクラブ掲載文より

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森智勝氏

暑いですね~。たぶん、朝一番に教室に来た時、むっとする暑さに辟易していることでしょう。それでも頑張って夏期講習に来る生徒のために、30分前に出勤してエアコンを付ける…本当にご苦労様です。今の努力が実を結ぶことを心からお祈りします。

さて、この文章を束の間の盆休みにお読みの方も多いでしょう。ぜひ、教室を見渡してください。朝から晩までの講習続きで、整理整頓・清掃が疎かになっていませんか?使用したワークや計算用紙が机の上に出しっぱなしになっていたり、消しゴムのカスが床に散乱していたり…。

以前、私が塾経営をしていた頃、1つだけいつも汚い教室がありました。何度指摘しても直りません。ある日、そこの教室長とじっくりと話をしました。塾はサービス業であること。ゴミやホコリ、落書きの目立つ教室ではいけないこと。毎日15分の清掃をすること…まあ、私も若かったので、少し感情的になったことは否めません。私の話を神妙に聞いていた教室長は最後に、こう反論しました。

「でも、もっと重要な業務があり、とても清掃まで手が回りません」

その教室長は本当に熱心で、教材準備や電話訪問等、業務に手を抜いているということはありませんでした。しかし…

塾の業務には優先順位を付けて優劣を論じることのできないものがあります。確かに教材準備は重要ですが、きれいな教室を維持することも重要です。物事を単眼で見ていると、そこに気付きません。「私はサボっていない。より重要な業務に時間を取られているのだから、清掃ができなくても仕方がない」と、自己弁護に走ることになりかねません。

さて、夏期講習中は朝から晩まで授業が詰まっています。だから清掃が疎かになっても仕方がない…そんな状態に陥っていませんか?

「感動」は想定した期待値を上回る部分に発生します。「朝から晩まで授業をしているから教室が乱れていても仕方がない」は当たり前過ぎます。それでも踏ん張って掃除をして、毎朝気持ちのいい状態で生徒を迎え入れることができれば、感動を与えることができます。生徒は気付きます。「そう言えば、いつも清潔に教室が保たれている。先生は朝から晩まで授業をしているのに、いつ掃除をしているのだろう」と。明確に意識しなくとも、目に入った情報は無意識のうちに右脳に蓄積されます。それは、いつか顕在化します。あなたが常に気持ちのいい状態の教室で生徒を迎えていること、その思いが伝わります。

朝から晩までの授業で、一日が終ればクタクタになっていることは重々承知しています。しかし、だからこそあと一歩踏み出す努力をしてほしいのです。

以前、谷村新司さんのコンサートに行きました。ファンである私は、本公演と数ヵ月後の追加公演を両日とも行きました。その追加公演での出来事です。その日は全国ツアーの最終日でした。

アンコールが終って幕が下り、谷村氏はステージを降りました。しかし、2階席、3階席のファンはまだ、再アンコールを求める拍手を続けています。一階席に陣取った「おっかけ常連ファン」はプログラム上、もう谷村氏が出てこないことを知っていますので、ゾロゾロと出口へと向かいます。ところが…

出てきたのです、谷村氏が。大歓声の一般ファンと、何事が起こったのかと右往左往する常連ファン。もちろん、谷村氏は歌いません。拍手を続ける2階席、3階席に向かって深くお辞儀をして去っていきました。その間、1分足らずのことです。

私はこの光景を見て本当に感動しました。3時間、全力でステージを務めたあとは体力・気力共に限界のはずです。再びステージに戻るのは本当に辛い。それでも谷村氏は出てきた…。あの2階席、3階席のファンの何人かが、次のコンサートでは1階席に陣取る「追っかけファン」になっているだろうことを私は疑いません。

もう無理だと思った時、あと一歩を踏み出せるかどうか。それが感動を提供できるかどうかの分岐点です。ぜひ、クタクタの体でなお、教室の清掃に向かってください。その一歩が、あなたの塾を更に発展させる起爆剤となります。

夏期講習後半、頑張ってください!

 
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