モリモリ元気レポート[94] -つむぎクラブ掲載文より

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森智勝氏

3月、塾業界では新年度スタートですね。この時期は入試の結果と新年度募集状況と、二つの不安を抱えながらの業務が続きます。「募集はこれからが本番」という地域もあると思います。盛況であることをお祈りします。

私の専門はマーケティングとリーダーシップ、モチベーションで、マネジメントは苦手です。特に管理マネジメントに関しては語る資格を持っていません。先日、以前から師事しているマネジメント・コンサルタントのセミナーに出席してきました。受講者として異業種の経営者の方とのワークも経験しました。仕事柄、講師を務めることが多いのですが、立場を変えてみると新たな気付きがあり、良い経験になります。「あなた」も指導する側の立場です。時には生徒の立場になるのもいいものですよ。

そうした中、テーブルをご一緒した参加者の中に、工務店を経営する方がいらっしゃいました。長引く不況の中、必死で会社を維持している様子です。私も、建設業界にはお付き合いしている方がいらっしゃいますので、多少の事情は分かります。上はメーカー、下は下請け業者とお付き合いしなければなりません。メーカーから受注するためには、「家を建てる顧客を何人紹介したか」が大きな要素になったりします。下請けは、いわゆる「ひとり親方」が多く、その管理に頭を悩ませます。そうした中、経常利益5%を捻出するのに苦労の連続です。資金繰りも大変です。建設業界は手形決済のため、入金は半年後です。しかし、資材費は事前支払いが必要だったりします。いわゆる「黒字倒産」は、こうした矛盾の中で起こります。本来、金融機関が調整役をするのですが、貸し渋り、貸し剥がしが横行し、時には高い金利の商工ローンに手を出さざるを得ません。下手をすると金利だけで利益が飛んでしまいます。

それに比べて塾経営は楽です。現金決済はもちろん、授業料は先取り、教材費は後払いという恵まれたビジネス環境下にあります。上位メーカーや下請けとの付き合いに頭を悩ませることなく、生徒と保護者だけを見ていればいいのです。そして、まがりなりにも「先生」と呼ばれ、頼ってくれる人がいます。実に幸せなことです。

我々は気軽に「幸せになりたい」と言います。結婚式を挙げた若いカップルは「私たち、幸せになります」と宣言します。しかし、この「幸せになる」というフレーズは文法的に間違っています。

「なる」という言葉は状態変化を表す動詞で、例えば「病気になる」と言った場合、それ以前は病気ではなかったことが前提です。「社会人になる」と言う場合も、それ以前は社会人ではなかったという意味を含んでいます。では、「幸せになる」と宣言している二人は今、幸せではないのか。不幸なのか…そんなはずはありません。実は、「幸せ」は「なる」ものではなく、「気付く」ものです。「幸せに気付く」が正しい使い方です。今、目の前にある幸せに気付き、感謝して生きること…それが「幸せに生きる」ということです。

塾経営をしていると、苦難や不安が付きものです。それでも我々は幸せです。志を同じくする仲間がいて、慕ってくれる生徒、頼ってくれる保護者がいる。その幸せに気付き、感謝しながら2013年度を過ごしましょう。そうした生き方をしている人に、「神の矢」は刺さるのだと信じます。少なくとも私は(神でも何でもない凡人ですが)そうした生き方をしている人と一緒に仕事をしたいと思っています。

不安を内に包み隠し、ハードボイルドでいきましょう。ハードボイルドは意訳すると「やせ我慢」です。どんな時でも明るく振舞うことです。人も生き物ですから走光性を持っています。明るい人の周りに人は集まります。

あなたの、あなたの塾の2013年度が明るく、充実した年になりますように…。

 
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