モリモリ元気レポート[88] -つむぎクラブ掲載文より

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森智勝氏

夏期講習、お疲れ様でした。塾人としては一息つきたいところですが、ここで気を抜く塾とそうでない塾との間には大きな差が生まれます。特に、来春の集客行動は今から始まっていると認識してください。日々の業務をこなしながらも着実に戦略を構築し、実行していくことが重要です。

以前もお話したことがあるのですが、戦略と戦術の重要度は8:2です。多くの中小・個人塾が戦略を持たず戦術のみに終始するため、2割の成果しか得られません。(もっとも、中には戦術もなく戦闘のみに徹している塾もありますが…)塾経営という観点からすると、あまりにも非効率です。ぜひ、今の時期に来年度の戦略を練ってください。

戦略を一言で表すのは難しいのですが、あえて表現すれば「大きな絵(設計図)」を描くことです。目指すべき完成形がイメージできなければ、それぞれの行為が何を目指しているのかが分からず、有機的に機能させることができません。非効率の原因がココにあります。塾経営もビジネスである以上、すべての資金・労力に合理的最適点を求めるべきです。例えば同じ1時間の授業ならば、より多くの学習成果を生徒に提供しようと思うはずです。それと同じ思想を経営に導入することです。そのためには設計図は欠かせません。設計図のない造船・建築があり得ないのと同じです。そして、設計図を描いたならば、一定期間(たいていの場合は1年間)はその設計図に添った行動をとらなければなりません。そうしてはじめて検証が可能になります。ビジネスは仮説と検証の積み重ねです。不調の塾の多くは、設計図を描いたとしても何かを理由にして建設を途中で諦めてしまいます。結果、行き当たりばったりの経営になってしまいます。

ひとつ、例を挙げましょう。今年の春、ここ数年苦戦を続けている個人塾の要請で春期の広告宣伝を請け負いました。聞けば、これまでは業者作成の片面一色のチラシを定期的に折り込んでいたとのこと。それで昨春は3名の入塾しかなかったと言うのです。「もう、チラシで集客するのは難しいですね」と、塾長は言います。塾の実情は…と言うと、「本当に経営が危うい状況です…。3月・4月で最低でも10名の集客をしないと…」というかなり危機的な状況です。そこで私は、塾長が決めた予算の範囲内で春期募集の絵(設計図)を描きました。ポイントは2点です。1つは、春期に集中してチラシを折り込むこと(具体的には2月~3月に7回の配布)。もう1つは保護者セミナーの開催と小冊子の作成等を含め、塾の理念・方針の啓蒙に徹することです。予算を抑えるため、私が原稿を作り(内容は塾長の許可を得ながら)、自社の輪転機を回した簡易印刷にしました。

チラシを配布し続けて3回目まで、問合せの電話は1本も鳴りませんでした。塾長からは悲嘆の報告メールが入ります。

「チラシを3回入れて反応ゼロ。本当に滅入ってしまいます。こんな状況でチラシを入れる意味が有るのか…!?と、自問自答を繰り返しています…。正に“先の見えない暗闇”、なんか暗く沈みがちな毎日です。もちろん塾生の前では、明るく振る舞っていますが…」

私は塾長の嘆きを無視して?チラシを作成し続けました。すると、4回目以降から反応が出始め、春期講習前には「3月中に入塾または4月からの入塾確約の数が、近年の中で最高を記録しています」という状態になりました。(実数17名)1回の配布枚数が6,400枚の狭い地域ですから、充分な結果でしょう。

多分、今まででしたら「3回目で反応0」の時点で諦めていたと思われます。それでは設計図を描いた意味がありません。今回は成功しましたが、たとえ成果が上がらなかった時でも、「内容が悪かったのか」「配布時期は適切だったか」等、検証することができます。もし、3回目で中止していれば、元の「行き当たりばったり経営」に逆戻りしてしまうだけです。

もちろん、経営は生き物ですから途中での軌道修正は必要です。しかし、それは「行き当たりばったり」とは性格を異にします。当然のことですが、実現可能な絵を描くことが重要です。そうでなければ、文字通り「絵に描いた餅」になってしまいます。

さあ、秋は戦略構築の季節です。12月になると、そんなことを考える時間はなくなります。今からの3ヶ月が重要ですよ。ぜひ、塾の全体像が見える大きな絵を描いてください。

 
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