モリモリ元気レポート[87] -つむぎクラブ掲載文より

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森智勝氏

夏期講習の真っ最中です。猛暑に負けず、頑張ってください。

今回は7月に全国的な問題になった大津の「いじめ事件」についてお話します。

オリンピックが始まるまで、毎日のようにワイドショーで取り上げられていた事件ですが、どうしてもマスコミ・有識者の論調は学校・教育委員会の対応の不備を糾弾することに力点が置かれています。「大きな権力」を叩いた方が喝采を浴びるのでしょうが、我々は教育の現場に立っています。子供と向き合っています。保護者に対して「学校の対応の拙さ」を指摘しても有意とは思えません。

最も避けたいことは無関心です。「あれは学校のことだから。遠い大津のことだから」と無視をしてはいけません。すべての保護者にとって重大な関心を寄せている事件です。塾として何らかのメッセージを発信すべきです。

これからお話しすることは私の「私論」であり、絶対的正解と言い張るつもりはありません。ただ、他に「いじめを原因とした自殺」を防ぐ手段が思い付かないのです。「あなた」が保護者に発信するメッセージの参考になれば幸いです。

まず、いじめを無くすことは不可能です。それを前提としてした対策を考える必要があります。そもそも「いじめ」は古今東西、あまねく発生する「人間の業(ごう)」です。

たとえば忠臣蔵。あれは江戸時代、五代将軍綱吉の治世時に起こった事件です。浅野内匠頭が吉良上野介のいじめを受け、殿中で切り掛かったのが事件の発端です。今で言うパワハラ(パワーハラスメント)でしょうか。(ただし、この「いじめ」は史実ではありません。事件から50年近く後に、人形浄瑠璃の演目として作られた「仮名手本忠臣蔵」という物語の中のことです。だから「江戸時代にいじめはなかった」のではなく、芝居の中で事件の発端に使われるくらい「いじめ」がポピュラーだった証拠です。ちなみに、物語の中では主人公の大石内蔵助は大星由良助として描かれています)

もちろん、いじめを無くす取り組みは不断に続けられなければなりません。しかし、それでもいじめは無くならないという前提で、少なくとも「いじめ」が自殺や重大な事態を引き起こすまでエスカレートさせない方法を考えるべきなのです。言うまでもないことですが、子どもは不完全な存在です。不完全だからこそ「いじめ」が発生します。しかし、それによって「自殺」を誘発してしまっては、すべての人にとって(もちろん、いじめた生徒にとっても)不幸なことです。

私は「親が子供を守る覚悟」を持つべきだと考えています。我が子がいじめられた時、その対応を学校(教師)に委ねるのが間違っているのです。

今の世の中、「いい人症候群」にかかっている人が多い。我が子がいじめに遭っている親ですら、「物分かりのいい人」のままに終始してしまいます。つい最近、埼玉でのいじめ問題が発覚しました。複数の同級生から「2階から飛び降りることを強要され、腰椎骨折の重傷を負った中学生」の問題です。「飛び降りないのなら金を払え」と脅迫もされていたようです。

ニュースに登場した母親が訴えます。

「息子は小学校の時からいじめに遭っていました。中学校に入学する際、校長先生に配慮をお願いに行きました。学校がちゃんと対応してくれていたら、こんなことにはならなかったのに…」

テレビに登場した元ヤンキー先生の義家氏(現参議院議員)が言っていました。

「ひとりで学校と交渉すると、モンスターペアレントと思われてしまいます。保護者間のネットワークを作り、全体の問題として提起することが重要です」

理想は分かりますが、現実は違います。誰もが集団の中では「いい人」になってしまうのです。周りを見て、自分だけが突出して不平・不満を述べることを躊躇してしまいます。私は、こと「いじめ」に関してだけはモンスターペアレントと思われることに躊躇すべきではないと考えます。我が子がいじめに遭っている時は、親が前面に出るべきです。子供を守るためなら、親は「鬼でも蛇でもなる」という気概を見せることです。モンスターペアレントと思われても、我が子が自殺するよりはマシです。

「中学生になると、いじめられていることを両親に話せない」という問題があります。その通りだと思います。ですから、子供が小さい時から言い聞かせます。

「何かあったら言いなさい。絶対に守ってあげるから安心しろ」

私は重大な事態になるまで両親が気付かないということは有り得ないと思っていますが、こうしたメッセージを常日頃から伝えることで、子どもが親に助けを求めやすくなります。いじめの芽が小さなうちに発見することができます。何より、「自分は守られている」と自覚している子どもは、自殺という不幸な解決方法を採らないものです。

実は、この話は我が子がいじめられた時の実体験に基づいています。その時、私が採った方法は「あまりに過激すぎて」公(おおやけ)に発表することが憚(はばか)れます。詳しい内容を知りたい方はメールを送ってください。私が行なった「鬼でも蛇でも…」の内容をお教えします。

 
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