モリモリ元気レポート[85] -つむぎクラブ掲載文より

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森智勝氏

6月に入り、各塾では夏期講習の準備に余念がないことでしょう。日々の学習指導に夏期講習…本当に息つく暇のないのが塾経営です。今回は夏期講習について考えてみましょう。

さて、最初に考えたいのが「あなたの塾の講座は誰を対象としているか」です。多くの塾が、全ての生徒を対象とした講座を設定しています。いわゆる「誰でもどうぞ!」です。その方が対象者が多くなって、より多くの受講生(特に外部生)を獲得できるように思います。ところが実際は、思惑通りにことが進みません。なぜなら、全ての生徒を対象とした講座は特徴がなくなり、自分に(我が子に)相応しい講座かどうかが分からなくなるからです。人は「分からないものには近づかない性質」を持っています。結果、反応が芳しくないということになってしまいます。

そうではなく、全体の2割の生徒にターゲットを絞り、その客層がチラシ・案内・ホームページを見た時に、「これは自分の(我が子の)ために作られた講座だ」と感じるような講座を設定することです。どの2割をターゲットにするかは塾によって違ってきますので私から指定することはできませんが、顧客を絞り込むこと(セグメント)は重要です。その上で、それをアピールするチラシ・案内を作成します。

業界全体が縮小均衡に入っている今、昨年と同じことをしていたのでは業績が落ちていくことを肝に銘じてください。

夏期講習は一種の「お祭り」のようなものです。教師も生徒も…保護者すらワクワクして講習を待つようなイベント(企画)を演出しましょう。ある塾はB紙を2枚つなげた大きな用紙の中心に「夏期講習」と大書し、その周辺に塾長のコメントを記したポスターを作成して壁一面に貼り出しました。やってきた生徒が「何これ?」と目を丸くしたそうです。教室長がマーカーを与え、夏期講習に対する意気込みをポスターに書かせています。こうしたちょっとした工夫で、生徒のモチベーションを高めることができます。

ある塾は「夏期講習の案内」を30ページ近い冊子として配布しています。単なる「案内」ではなく、コラムや情報が満載の「読み物」になっています。やはり、受け取った塾生は「何これ?」と目を丸くします。人は、受け取った時のその「重さ」に反応します。ずっしりと両手に感じる重みで塾の熱意、講習にかける意気込みを実感します。いくら素晴らしい講習を企画しても、案内がA4一枚では伝わらないのです。

先月号でもお話しましたが、紹介キャンペーンは今が旬です。夏期講習をからめたキャンペーンを是非、企画してください。最近、「そんなことをしても意味がない」「無駄だ」という声を聞くことが多くなりました。しかし、無駄で終るなら御の字です。無駄ということはイコール、大きなリスクがなかったということです。100万円のリスクがある企画でしたら費用対効果を含め慎重に考えなければなりませんが、紹介キャンペーンは多くとも数千円で実施が可能です。それで1人でも講習生を獲得できれば充分にペイします。費用を掛ける替わりに知恵を絞って、リスクの小さい実践を数多く積み重ねてください。体力勝負では大手塾に敵いませんが、頭脳勝負ならば1人が100人に勝つことすら可能です。

先日、社団法人全国学習塾協会の招きで博多に赴き、講演をしてきました。テーマは「塾業界の未来と勝ち残り策」です。私が作成した春期募集のチラシなどを紹介しながら説明したのですが、塾関係者以上に参加されていた私学の方々の反応が高いことに驚きました。「チラシのデータを譲ってほしい」という要請が数多く寄せられました。考えてみれば、少子化・不況の影響は塾だけでなく私学をも直撃しています。悩める者同士?知恵を出し合えば、何か斬新なことが出来るのではないかという可能性を感じました。実際、私学の講習を塾が請け負うという動きは全国的に広まっています。他にもまだまだ互いに協力できることがありそうです。

頭に汗をかきましょう。ただ漫然と日々を過ごして前例主義に陥らないこと。それが中小・個人塾が勝ち残るために必要なことです。さあ、まずは夏期講習ですね。

 
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