モリモリ元気レポート[83] -つむぎクラブ掲載文より

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森智勝氏

春期講習も終わり、やっと一息つける時期となりました。ただ、今、通塾を迷っている家庭は4月を過ぎると夏期講習まで動かなくなります。ゴールデンウィークまでは集客に力を入れてください。

テレビ・新聞では石原都知事と橋下大阪市長が会談したニュースで大騒ぎをしています。次の総選挙まではこうした報道が続くのでしょう。テレビに映る石原氏の様子を見て、「上手いなあ」と感心することがあります。マスコミは氏を追いかけながら会談の内容を何度も問い掛けます。その度に石原氏は「密談!」と応じます。これだけ周知の「密談」も珍しいのですが、私が唸ったのは最後の場面です。石原氏が自宅に戻り、車を降りると、マスコミから何度目かの同じ質問が飛びます。それに対して氏は、やはり「密談!」と答えた後に、この時だけ「後で話すよ」と付け加えて姿を消しました。テレビで何度も流されていますので、ご覧になったと思います。

普通、密談の内容は話さないものです。話してしまっては密談になりません。記者たちも会談の内容を話してくれる期待をせずに同じ質問を繰り返していたと思われます。記者たちも大変です。徒労に終る覚悟で大阪から東京まで密着行動するのですから。「後で話すよ」の一言は、そんな記者たちにニュースソースを提供すると共に、思わせぶりな捨て台詞?で大きな余韻を作り出しました。さすがに一流の作家であり、政治家です。どう振る舞い、何を話せば周りが反応するかを知っています。

こうした手法は、塾の現場でも使えます。私は以前、「授業の最後に宿題を出すのを辞めよう」と提案したことがあります。宿題を出されて喜ぶ生徒はいません。その瞬間、誰もがテンションを下げます。テンションを下げたまま帰宅させるのは避けたいものです。授業マネジメントが出来ていれば、その日の宿題は予(あらかじ)め分かっているはずです。ならば、何も最後に発表することはありません。それよりも、授業の最後には「予告編」をお勧めしています。来週の授業で学ぶことを興味深くさせるために。

例えば、社会の地理を学んでいるとしましょう。私も覚えがあるのですが、地理という科目は「暗記科目」の代表のようなもので、「つまらない科目」と捉えている生徒が多いものです。ところが…

さあ、来週から日本地理に入るぞ。最初は北海道だ。ところで、東京都は「東京」、大阪府は「大阪」、愛知県は「愛知」と呼ぶことがあるのに、47都道府県の中で北海道だけは「北海」と言わないのはなぜだろう。その答えは次週明らかになります。お楽しみに!

こうした予告編を提供していくと、生徒が次の授業を楽しみにしてくれます。中には答えを調べてくる生徒も出てくることでしょう。工夫すれば全ての教科で可能です。

私が「授業の予習をしましょう」と提案すると、「もう何年も教えていますから、予習することはありません」と言う人がいます。もちろん、「教えるべきこと」を習得しているのは重々承知しています。そうではなく、「その学習内容を興味深く、印象付けるための工夫に時間を使いましょう」という提案をしているのです。塾というビジネスにとって、授業は(言うまでもないことですが)商品です。そのクオリティを常に高める工夫をしている塾と、怠っている塾との間には大きな差が生まれます。

どうすれば90分の時間を有効に使えるか、どうすれば生徒たちが時が経つのを忘れるくらい集中して学習できるか、どうすれば次の授業を心待ちにしてくれるか…。そうした観点から授業マネジメントを見直すことです。

後で話すよ…この一言で大きな余韻を作った石原氏からマスコミ、政治家、国民は目が離せなくなりました。あなたはどんな工夫で余韻を作り、次の授業を心待ちにさせますか?

 
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