モリモリ元気レポート[76] -つむぎクラブ掲載文より

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森智勝氏

夏期講習、お疲れ様でした。西日本を横断した台風12号は、各地に大きな被害をもたらしているようです。あなたの地域は大丈夫でしょうか。被災された方々にお見舞い申し上げます。

節電の夏も終わりを迎えようとしています。中部や関西は「節電要請」ですから問題はありませんが、関東は法的拘束(電気事業法第27条)ですから性質が悪い?

関東のローカル紙に載った中小企業の悲哀です。

(節電のため、休日を変更して日曜操業をしている中小企業に苦情の電話が掛かってきて)「国の命令で電力節約に協力しています。中小企業も生きていかなければならない」石川社長は日曜操業の意義を懸命に説明したが、相手は「ふざけるな。健康を害したら誰が責任を取るのか」と聞く耳を持たない。

仕方なく昼に一時、電気炉以外のスイッチを落とした。しかし4時間かけて溶かした金属を放ってはおけない。夕方まで操業したが、それ以上の苦情電話はなかった。「一度電気を止めたので、許してくれたらしい」と石川社長。

同社は結局、日曜操業を諦めた。工業団地だが、住宅街と共存する環境。大手自動車メーカーのようにはいかない。「でも15%の節電指示を守れなかったら罰金を取るというのは…」石川社長には割り切れない思いが残る。政府と地域の板挟みだ。

(中略)海江田万里経産相から石川組合長宛ての6月1日付「通知書」には、同組合が使用できる電力が前年使用量の15%減の毎時6188キロワットとされ、「この電力使用制限に違反した場合は(超えた分の1時間ごとに)100万円以下の罰金が科される場合がある」とある。5日午前10時から約1時間、もう少しで制限を超えそうな場面があった。(以下略)

この「電力使用制限に違反した場合は(超えた分の1時間ごとに)100万円以下の罰金が科される場合がある」は凄いですね。愛知県でもトヨタが土日操業(平日休日)になりましたので下請け、孫請け業者は大変です。工場付近の外食産業や保育所も対応に頭を悩ませています。

法律に則って…は分かるのですが、節電を余儀なくされたのは中小企業のせいではありません。その節電を要請するのに「罰則で脅す」のはどうでしよう。多くの企業は節電に協力しています。それは罰則が怖いからではなく、今の日本が置かれた状況を憂い、少しでも協力したいという「愛国心」からです。

罰則はアカンでしょう。せっかく国民が一つになって難局を乗り切ろうとしているのに、政府のやろうとしていることが「恐怖政治」では人心が離れるのも当然です。

我々は政府を反面教師として学ぶべきです。

罰則で人を動かすのは、外的要因(誘因)で人のモチベーションを高めようという手法の一つです。しかし、日本全体が内的要因(動因)で節電に取り組もうというモチベーションが高い時には絶対に逆効果です。冷や水を掛けるようなものです。

実は、こうした経営者や上司は結構多いものです。どうも、部下が「やる気」になっているのが気に食わないらしい。例えば…

部下が久しぶりに契約を取ってきた時に「これくらい当たり前だ。今までがダメ過ぎただけだ。こんなことくらいで喜ぶんじゃない」とケチを付ける上司です。せっかく部下が契約を取れて喜んでいる(つまり、モチベーションが上がっている)時に冷や水を掛けてしまいます。

塾の教師にもいます。生徒が順位を上げて喜んでいる時に「この程度成績が上がったくらいで…」と冷や水を掛けます。

こんな教師は失格です。さっさと教育の現場から退場していただきたい。健全な子どもの成長に役立たないばかりか害を与えます。生徒が喜んでいるときは一緒に(大袈裟なくらい)喜んであげるべきです。

ましてや、罰則で生徒をコントロールしようというのは最低です。

塾の究極の使命は、内的要因(動因)で自主的に行動できる人を育て、もって未来の社会に対して貢献することです。今、キッザニアでは消防士と警察官が大人気だそうです。東日本大震災での活躍を子どもたちは見ているのです。その時に大人が「そんな危険な職業を目指すのは辞めなさい」と言ったりすると…せっかく芽生えた正義感が折れてしまいます。将来に対するモチベーションが萎えてしまいます。自戒。

 
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