モリモリ元気レポート[70] -つむぎクラブ掲載文より

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森智勝氏

2月。いよいよ受験本番期に突入です。この冬は日本海側を中心とした記録的な豪雪、南国宮崎では新燃岳の噴火と自然の猛威が社会生活を脅かしています。全ての受験生が、そうした困難に負けずに全力を発揮できるように願っています。

私は先日、毎年恒例となっている伊勢神宮詣をしてきました。平日の午後にも関わらず、大勢の参拝客で賑わっています。伊勢神宮と言えば、名物は「赤福もち」です。土産に買っていこうと、神宮に最も近い店に入りました。ところが、すでに12個入りと8個入りは売り切れ、2個入りしか残っていないではありませんか。赤福もちを提げたまま参拝するのを躊躇(ためら)い、帰りに店に寄ったのが失敗でした。まだ、4時前だというのに店は開店休業状態です。以前、食品偽装問題で世間を騒がせて以降、その日に売り切る分しか製造しない経営方針のため、品薄状態が続いているようです。「仕方がない、次は帰りではなく行きに買っていこう」と私は諦めかけたのですが、女房殿が執念を見せ、「向こうの本店ならば、まだ残っているかもしれない」と、人ごみを掻き分けて走っていきます。結果、最後の6個入りを4箱ゲット。満面の笑みで女房殿が戻ってきました。

人の心理は不思議なもので、入手できないとなると猛烈に欲しくなる。以前、アメリカ産牛肉が狂牛病問題で禁輸された時、「日本にはこんなに吉野家ファンがいたのか」とビックリするほど多くの人が、「最後の牛丼」を求めて店に殺到しました。こうした心理をビジネスに応用するのは常套手段です。ホテルでも航空会社でも残室数や残席数を表示しています。テレビの通販は、「限定100台!」の映像を毎日流しています。「今から30分以内にご注文の方にだけ…」も、24時間、日本中のどこかの放送局が放映しています。ブラフ(はったり)とバレバレなのですが、懲りずにやっているのは何故か。その方が売上が上がるからです。24時間放映の通販番組で、画面の隅に「申込み殺到」「残数わずか」の表示が出るのも同じ効果を狙ってのことです。

ビジネスでは有名な格言ですが、「人は得た満足よりも、得られない不満に強く反応する」ものです。自分だけが入手できないという恐怖?が人を行動に駆り立てます。売り手側の理念とかモラルの問題は別に論じるとして、事実として「限定」は効果があります。

数年前に強調していたことですが、翻って塾業界を見てみると、「限定」に対して実に曖昧な対応をしています。「少人数制クラス」と強調しているが、その定員は表示していない。表示してあっても、「定員10名前後」と曖昧表記。「定員10名」と明記していても、11人目の申込みがあると、机を詰めて設置し、入塾を許可してしまう…。それで一時的に得られる利益よりも、こうした対応で地域の信頼を損なうリスクの方がはるかに大きいと思います。

売り切れたはずの赤福もちが、客の抗議を受け、「わかりました。明日販売する分ですが、特別にお売りしましょう」と倉庫から出てきたら…興醒めですよね。

私は、定員は設けるべきで、設けた以上は例外を認めず厳守することだと考えています。そして、なぜ、その定数なのかを論理的に説明できることが重要です。定員10名の理由が「部屋の大きさ」では相手の納得を得ることは難しいでしょう。

受験期に募集期…最多忙期です。新型インフルエンザも流行っています。ご自愛しつつ、奮闘して下さい。

 
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