モリモリ元気レポート[50] -つむぎクラブ掲載文より

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森智勝氏

新型インフルエンザの日本上陸のため「つむぎセミナー」が中止になってしまいました。皆さんとお会いする機会が失われたことが残念でなりません。しかし、嘆いてばかりもいられません。今回のことを教訓として危機管理について考えてみたいと思います。

さて、この大騒動について「マスコミの過剰反応だ」という批判があります。私もそう思いますが…結果論で批判するのは避けたいところです。予想外に被害が少なかったから言える話です。まあ、恐れていたH5型の鳥インフルエンザの予行演習になったと思いましょう。そう、問題は致死率70%とも言われているH5型が日本に侵入したとき、あるいは新型が突然変異を起こして猛毒性に変貌したときの危機管理が各塾に備わっているかということです。

これまで何度もお話していることですが、我々日本人は言霊思想(言葉にしたことは現実のものになるという信仰)で生きていますので、「悪い想定」をすることが苦手です。悪いことを想定すると、それが現実に起こってしまうと考えるからです。それが、日本人の危機管理の甘さを生んでいます。

本来、危機管理とは最悪を想定して準備しておくことが常識です。私が言う「悲観的に考えて楽観的に行動すること」です。ところが、日本人は逆をやってしまいます。「楽観的に考えて悲観的に行動する傾向」が強いのです。「新型インフルエンザは日本には来ないだろう」と楽観的に考えて(つまり、何の対策も考えず)、実際に上陸すると「わあ、もうダメだ。とりあえず塾は閉鎖するけれど長引くと倒産してしまう…」と悲観的に行動してしまう。経営者としては逆の発想をすべきです。最悪を(悲観的に)考えて、実行するときには楽観的に行動することです。

今すぐ、N5型インフルエンザ発生時の対応策を「悲観的に」考えて下さい。

ちなみに、学校や役所の公的機関は最長40日間程度の閉鎖が考えられます。発生地域は1ヶ月強の間、都市機能がストップし、経済活動にも大きな支障が出ることは間違いありません。民間企業に対しては政府からの休業要請があったとしても法的拘束力は持ちません。ただ「道義的問題」が残るだけです。しかし、実際問題として致死率70%という殺人ウィルスが蔓延している状態で塾を営業することは難しいでしょう。

考えるべきことは山ほどあります。今、塾経営者の「あなた」には究極の危機管理が求められています。地域に新型インフルエンザ(H5型)が発生したときの対応策を早急に立て、社員や顧客に通知(宣言)することです。突然のことにパニックになる塾と、事前に「万が一、発生したときには弊社はこう対応します」と伝える塾とでは信頼感が違います。

以前、塾の現場で臨時講師が塾生を殺害するという痛ましい事件がありました。その時も、他人事と見過ごしていた塾と「当塾の採用と事故(事件)防止策」をすぐに発表した塾とでは、その後の集客に大きく差が付いたことは記憶に新しい。

これは、全ての場面で言えることですが、顧客に対して事前に行動計画を伝えることは最大のマーケティングです。それは、店(企業)の信頼感を売ることになります。

日本人はどうしても、「言いにくいことは最後に言う」性質があります。いえ、「最後まで言わずに最悪の状態を迎えること」が日常茶飯事です。(そうやって離婚に至った夫婦がどれだけあるか…)今回は最も恐れていたH5N1型のウイルスではない。「これまでも、日本では年間1000万人がインフルエンザに罹患し、1万人が死亡している。今回の騒ぎは過剰反応だよ」という声もあります。しかし、いつ、突然変異を起こし猛毒性に変貌するかは分からない。どうやら、人から人へと感染する間に突然変異は起こるらしい。悪名高き「スペイン風邪」もそうやって世界中に広まっていったと言います。特に、本来インフルエンザが最も活動しないはずの時期にこれだけの感染力を見せているのですから、今年の冬は何が起こっても不思議ではないでしょう。転ばぬ先の杖を用意することは必要なのです。

誰かが「鳥なら許せるけど、豚から感染するのは嫌だ!」と冗談を言っていましたが、もうすぐ笑えないレベルのインフルエンザが確実にやってきますよ。

 
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