モリモリ元気レポート[49] -つむぎクラブ掲載文より

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森智勝氏

早いもので、このコラムを担当するようになって今回で5年目に突入します。これまでお付き合いいただいた全ての「つむぎクラブ」会員様に御礼申し上げます。振り返ってみると、このコラムをスタートした2005年1月に、私は次のように宣言しました。

「中小塾にとって2005年は反攻の年と考えています」

それまでの塾業界は「生き残り」を賭けた淘汰の時代と言われたものでした。その結果、市場に支持されない塾は退場を余儀なくされました。いわゆる情報化社会の真っ只中にあったのです。前回お話したように、情報化社会とは市場の中に玉石混交の商品が溢れている状態です。消費者にとっては「何が優れていて、何が劣っているのか」の情報が必要だったのです。そのため店側は、いかに自分の提供する商品が優れているかを伝えることが必要でした。

ところが、淘汰の時代=情報化社会が終焉を迎えると、今度は「勝ち残り」を賭けた競争が始まります。縮小均衡がハッキリした業種ではパレートの法則が強烈に働き、地域№1塾の座を目指す必要が生まれます。その分岐点が2005年だったのです。実際に、この数年間で個人塾のレベルでも塾生30名から250名になって地域一番塾になった塾や、塾生7名から120名になった塾、教室数が10倍になった塾などの例が見られます。

そして今、新たなステージへと塾業界は移行しようとしています。それが「高度情報化社会」です。淘汰の末に市場に出回る商品が優良商品ばかりになった時、以前のように「商品の優秀性」のみを叫んでいたのでは市場の反応が得られなくなります。「あなたの商品がいいのは分かった。でも、隣の商品も負けず劣らず素晴らしいでしょ?」という消費者心理が生まれています。そうなると、「何を伝えるか」よりも「誰がどう伝えるか」が重要になってくるのです。

面白い現象を見ました。マスコミ各社が行った世論調査では「民主党小沢代表は辞任すべき」と答えた人が70%近くありますが、先月末の「朝まで生テレビ」の中での調査ではその数字が逆転していたのです。理由は、番組の中で元検事を中心とするパネラーが検察批判を繰り返したからです。事実(秘書の政治資金規正法違反容疑)は同じでも、伝える人と伝え方によっては受け止め方が逆になる好例です。(まあ、世論とはそれくらい怪しい?という好例とも言えますが…)

少なくとも、社会(市場)の変化に応じてマーケティング法も変えていかないと通用しなくなるというのは事実です。

「資本の論理から感情の論理へ」この流れを無視することは出来ません。今の不景気下で苦戦が続いている外食産業で「餃子の王将」が売上を伸ばしています。それを伝える記事は、その理由を次のように分析しています。

「またチェーン展開する外食業界の基本である『どの店でも同じメニューを同じ味で提供』という概念も「餃子の王将」には当てはまらない。500店舗すべて立地・大きさ・レイアウト・定食メニュー等が一店ずつ異なり、各店舗がそれぞれの個性を発揮させるようなシステムを採用している。財布に余裕のない学生向けに大学限定メニューや30分の皿洗いで食事代を無料する店さえ存在する。一店一店が地域・立地に見合った最適な販売方法を生み出し、地元に愛される好循環を生んでいる。」

資本の論理で突き進むマクドナルドやファミレスに対して、王将は感情の論理を駆使しているのです。

 
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