モリモリ元気レポート[37] -つむぎクラブ掲載文より

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森智勝氏

ついこの間までの厳しい寒さが嘘のように穏やかな桜の季節がやってきました。各塾では嵐のような多忙期を過ぎ、ホッと一息といったところでしょうか。それとも春期講習終盤の追い込みに、まだまだ忙しくされているのでしょうか。

新しい年度の始まりに、ぜひ、授業の中身を見直してください。講師にとっては毎年同じことの繰り返しかもしれませんが、生徒にとっては毎日が新しい発見です。誰もが知識欲を持ち、新たな知識を得ることに喜びを感じます。ところが、それを授ける側が「感動のない」伝え方をしていたのでは、その喜びを感じることができません。確かに塾の使命はテストで良い点を取らせ、志望校合格へと導くことですが、それだけを目的とした「学びの場」はつまらないものです。魅力のない場所に対しては足が遠のくのは人の常です。生徒たちがワクワクしながら塾舎に通うような魅力的な授業を展開することが重要です。

以前から指摘しているように、塾はニーズで成り立っている業種です。でも、だからこそ、そこにウォンツを付加する演出が必要です。授業の展開そのものもマーケティング視点で考えてください。

すると、チラシで最も重要なのがキャッチコピーであるのと同様、授業も最初の5分が全ての鍵を握っていることが分かります。ここで、タラ~と入室し、いきなり「では、教科書の○○ページを開いて…」と始めたのでは、生徒の興味を惹きつけることができません。多分「ああ、今日もつまらない1時間が始まった」という感想を持つことでしょう。その日の学習内容に関連したトピックス(小ネタ話)を用意し、生徒にアイドリングをさせる必要があります。これを専門用語で「アイスブレイキング」と言います。誰もが内的準備が整わないままでは授業に集中できないものです。とにかく、この最初の5分を徹底的に研究して下さい。

次に重要なことは言うまでもなく最後の5分です。ほとんどの授業が宿題を提示して終わると思うのですが、生徒は皆、宿題が嫌いです。宿題を出されると嫌な気分になります。つまり、多くの塾が「嫌な機分」のまま帰宅させているわけです。これでは家庭学習のモチベーションは上がりません。

なぜ、この宿題が必要か。これに取り組むことでどんな効果が生まれるのか…。そして、生徒が前向きに家庭学習に取り組めるような話で締めくくることです。なぜなら、モチベーションの維持には賞味期限があるからです。たいていの講師が、次に同じ生徒と会うのは1週間後です。人のモチベーションは一週間も持ちません。ましてや、「嫌な気分」で帰宅したのでは…。そこで、できるだけ「余韻」を残す終わり方を考えて下さい。生徒ができるだけ早く宿題に取り組めるように。すると、「行動することで意欲を自己発電する法則」が働きます。

毎日通う学校とは違い、塾は生徒にとって非日常の空間です。その「非日常空間」を苦役と感じさせるのか、快適と感じさせるのか…そこに塾の発展の鍵は存在します。「始め良ければ全て良し」「終わり良ければ全て良し」ですよ。

 
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