モリモリ元気レポート[137] -つむぎクラブ掲載文より

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森智勝氏

今年は台風の当たり年らしく、次々と日本列島を襲っています。ところが温暖化が影響しているのか、かつて台風銀座と言われた高知-紀伊半島-東海地区ではなく、多くが九州-山陰-北陸ラインを通過しているようです。中には東北にいきなり上陸して北海道へと北上するものもありました。いずれにせよ、今回の台風18号の被害が無いことをお祈りします。

さて、10月~11月は来年度に向けた戦略を練る時期だと、このコラムでも何度かお話してきました。12月に入ると、冬期講習を皮切りに塾現場は超多忙期に突入します。落ち着いて来年度のことを考える時間と余裕がなくなるからです。

先日、某塾から「授業数削減」についての問い合わせをいただきました。あなたの塾は年間授業数を何回に設定していますでしょうか。多くの場合、月4週-年48週の設定をしているようです。特に個別指導塾はこの設定が多いですね。

かつては「カレンダー通り」の塾が多く、「日曜・祝日休み」と設定しているところがほとんどでした。しかし、ハッピーマンデーの導入以降、カレンダー通りにすると月曜日の開講数が極端に少なくなってしまいます。そこで、祝日に関係なく「第4週までは通常授業、月末は休み」というカリキュラムが個別指導塾を中心に定着しました。

年間48週も通常授業を行い、加えてテスト対策授業・面談・保護者会・模擬テスト・イベント…様々な付加価値を提供しようとすると、今度はスタッフの休日が取れなくなってしまいます。実際、年間50日くらいしか休めないという個人塾の塾長は多いのではないでしょうか。まぁ、経営者は仕方がないとしても、社員まで同じ待遇になるのは考えものです。今の塾業界は「ブラック企業」の代名詞のように扱われています。優秀な人材を確保するためには、ある程度の福利厚生は必要です。また、たとえ個人塾であっても、経営者の「労働力再生産」のためには、ある程度の休日は不可欠だと考えます。

授業数を削減すると、多くのメリットがあります。

第1に、流動的人件費(パート・アルバイト等)が削減できます。私は年間42週稼働を推奨しているのですが、48週と比べると12.5%の削減になります。第2に、社員の休日を増加させることができます。第3に授業以外の付加価値を充実させることができます。

もちろん、大前提として指導内容のクオリティは下げないということがあります。年に1回や2回の削減ならば小手先の対応で何とかなりますが、上記のような年6回の削減となれば、カリキュラムの見直し、指導内容の効率化・スピード化が求められます。ある塾は授業数削減のため、教室にプロジェクタを設置し、板書時間の短縮を図りました。数学にしても英語にしても、教師が問題を板書している時間は思いの外、多いものです。当然、行き当たりばったりの授業では通用しなくなります。真剣に授業内容や進め方を考えなければなりません。そうした行為が、塾の体質を強化することにつながります。実は、この点が授業数削減の最大のメリットなのかもしれません。「授業数は削減する、しかし指導内容は変わらない」では顧客の支持は得られません。自ずと授業とカリキュラムの改革に真剣に取り組まざるを得なくなります。

もちろん、決断するのは「あなた」です。しかし、今の時期、「もし、授業数を6分の5に削減するならば」というシミュレーションをするのも悪くないと思います。そうした時間的余裕があるのが「今」です。きっと、気付かなかった改善点が見えてくるのではないでしょうか。

 
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