モリモリ元気レポート[133] -つむぎクラブ掲載文より

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森智勝氏

全国的に梅雨入りの便りが届くようになりました。じめじめとした鬱陶しい日々が続く中、塾の現場ではテスト対策に忙しいことでしょう。がんばってください。いくら募集期にチラシだ、ホームページだと広告宣伝に力を入れても、肝心の商品力が劣っていたのでは効果がありません。テスト結果は夏期講習の集客に直結します。健闘を期待します。

さて、私は先日、今年90歳になる老母を、花をテーマにした某施設に連れていきました。広い敷地内は時期である紫陽花と菖蒲が咲き誇り、車椅子を利用して庭園を廻った母も久しぶりのお出掛けに満足したようです。介護士の資格を持つ女房殿にも付き添ってもらい、何のトラブルもない一日を過ごせました。

ただ、マーケッターの私としては気になることがありました。その施設には母だけでなく多くの車椅子利用者が訪れていました。貸し車椅子も常備しています。にも関わらず、道路が石畳で作られているところが多く、車椅子を押している私としては、振動による母の体への負担が気になってしまいます。健常者にとっては滑らずに歩けるメリットがあるのでしょうが、車いす利用者と介護者にとっては負担が大きいと感じました。

母の希望で、敷地内のレストランで「うどん」を食べることにしたのですが、ここでも配慮に欠ける対応がありました。背の曲がった老婆が座ると、テーブルの上の丼の位置が高すぎて上手くうどんが食べられません。そこで私が取り分け用の小さなお椀をお願いしたのですが、本当に「お椀だけ」を持ってきました。女房殿がうどんを取り分けるのですが、ツユを取り分けることができません。そこで再び、レンゲを所望すると、ちゃんとレンゲが届きました。う~ん。

小さなお椀を頼まれたならば、取り分け用だと分かるはずです。頼んだメニューはうどんです。気の利いた店(従業員)ならば、レンゲもセットで持ってくることでしょう。

以前、出張先のホテルの和食処で接待を受けたことがあります。懐石料理の最後に出された芋ご飯が満腹のため食べられないでいると、店の方が「御夜食にどうぞ」と包んでくれました。ホテルの部屋で深夜、小腹が減ったので包みを開けると…箸が入っていませんでした。御握りではなかったので、さすがに手掴みで食べることはできません。

サービス業にとって、相手の立場に立った想像力は重要です。それがなければ、相手(客)の想定以上のサービス、つまり感動を提供することができないからです。感動を提供しなければ、客は次の行動(リピート、口コミ等)に移すことはありません。「お椀をください」と言われてお椀だけを持っていく。それはあまりにも当たり前のサービスです。そこに感動は生まれません。他人事ながら、「もったいないなあ」と思います。この店はお椀もレンゲも準備しています。ハード面のサービスはできています。ところが一歩進めたサービス、ソフト面のサービスに意識が向いていません。本当にもったいないことです。

さて、我が身を振り返ってみましょう。塾はカテゴリーで言えばサービス業です。それも、顧客(保護者)とサービス受給者(子ども)が異なるという特殊な業種です。塾はよく、エステやジムと似ていると言われます。確かにモノ(商品)が見えないサービス業という意味では同種ですが、顧客とサービス受給者が同じか異なるかは大きな違いです。塾は、どれだけサービスを提供しても、それが直接、顧客に伝わらないという宿命を背負った特殊な業種です。それを意識したマーケティングが必要なのです。

「こんなな熱心に指導して成績も上げているのだから、もう少し口コミ・評判が広がってもいいのだが…」と嘆く塾長(経営者)に出会うことがあります。もしかしたら、「こんなに熱心に指導して成績を上げていること」が顧客(保護者)に伝わっていないのかもしれません。あなたの提供しているサービスが、顧客にとって想定内と捉えられているのかもしれません。

ぜひ、あらためてマーケティングを見直してください。「熱心に指導して成績を上げている塾」こそ、1人でも多くの生徒を集めてほしいと思いますし、その資格があるのだと思います。

 
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