モリモリ元気レポート[121] -つむぎクラブ掲載文より

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森智勝氏

先日(5月31日)、大阪で「つむぎ元気サロン2015」が開催されました。私もオブザーバーとして出席したのですが、早々に定員に達しただけあって参加者の熱意は高かったですね。勉強会のテーマは「自立型学習とe-ラーニングの研究」で、都麦出版が提唱するリンガポルタの紹介と、ひのき学習塾が実践している「絶対暗記」を利用した自立型学習の実践報告がなされました。午後1時30分から始まった勉強会は、懇親会終了の(それも予定を1時間もオーバーした)午後8時まで続きました。

確かに、本やネットでも学ぶことはできます。しかし、ライブの勉強会から得られるものは質・量ともに別格です。何より、参加者相互の熱いエネルギーを感じることができます。そのエネルギーを浴びることによって、自らのモチベーションがアップします。参加者の中には遠く鹿児島から、群馬から参集された方もいらっしゃいましたが、充分にそれだけの価値はあったと思います。今回やむなく参加を見送った方、次回からの参加を強くお勧めします。私も、可能な限り顔を出したいと思います。

さて、勉強会当日、私もマーケティングの視点からいくつかのアドバイスをさせていただきました。1つは「自立学習型指導は最も授業がつまらないことを認識しなければならない」ということです。集団指導ならば、講師が時には戯言を言ったり、様々なパフォーマンスで生徒を飽きさせない工夫ができます。個別指導ならば、マンツーマンのコミュニケーションを通して、生徒と講師の近しい人間関係を構築することができます。ところが自立学習型指導の場合、利用する教材がワークだろうと映像教材だろうと、基本的には生徒が一人で黙々と勉強することが基本です。もちろん、学習効果という意味では自立型学習が優れているのは理解できるのですが、それだけでは塾経営は成立しません。塾に通うことに苦痛を感じさせたのでは学習効果も低下しますし、そもそも多くの塾生を集客することが難しくなります。コアの部分(授業)がつまらないという前提を認識して、その周辺部分をいかにコーディネートして苦痛を和らげるかを考える必要があります。例えとしては不適格かもしれませんが、手術が必要だと認識はしていても麻酔なしの手術を受け入れる人はいないのと同じです。

塾人はどうしても、教材や指導法といった教務に関心を寄せがちですが、一方でビジネスという視点を疎かにしてしまいます。言うまでもないことですが、経営が成り立たなくて塾教育の実践はできません。参加者の中には異業種からの参入で、自ら「教えることには自信がありません」と言う方が数名いらっしゃいましたが、開業2年程度で既に50名前後の生徒を獲得しています。多分、前職で培ったビジネスの視点が生かされているのでしょう。自立学習型指導を志向されている方は、そうした部分(授業という商品力だけではなくマーケティングの部分)も同時並行して考え、実践してください。商品力とマーケティングはビジネスの両輪です。どちらが欠けても前進はできません。

もう一点強調したのは、塾人の資質である真面目さ、正直さの弊害についてです。これは何度もこのコラム上でお話してきましたので簡単に述べますが、要は「正論は相手を傷付ける」ということです。「この子は○○高校に受かるでしょうか?」という保護者の切実な質問に対して、「それは今後の彼の努力次第です」という正論で応えてはいけないということです。保護者は、そんな至極当然な答えを期待しているのではないからです。面談の時に必要なのは、「あなたが言いたいことを言うのではなく、相手が聞きたいと思っていることを言ってあげること」です。私ならばこう言います。

「大丈夫です。私にお任せください!」

そして、塾人にはそれを言う決断力と覚悟が必要なのです。自立学習型塾の成功のカギは正に、そこにいる指導者に、その「決断力と覚悟」があるかどうかです。もっともそれは、全ての塾人に求められているものだと思いますが…。

 
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