モリモリ元気レポート[114] -つむぎクラブ掲載文より

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森智勝氏

先日、某勉強会に出席してきました。参加者は皆、中小塾の経営者です。「何か話を」と請われ、30分ほど時間を頂戴して経済の話をしてきました。骨子は次の通りです。

経済には三面等価の原則があり、国の生産(GDP)・分配・消費は一致する。経済が拡大するということは、GDPを大きくすることだ。その方法は2つしかない。「内需拡大」と「外貨の獲得」である。三面等価の原則により、内需(消費)の拡大は重要だがGDPの拡大と連動しているので限界がある。つまり、「外貨の獲得」を実現しなければ日本の経済は豊かにならない。日本の高度成長は莫大な貿易黒字によって実現された。

この原則を塾経営にも当てはめて考えたい。内需の拡大とは、現塾生の「生涯売り上げ」を伸ばすことである。生徒の在籍期間を伸ばすと共に、1人当たりの売り上げを上げる工夫が必要だ。しかし、ここには限界がある。外貨の獲得が必要だ。塾における外貨の獲得とは新規塾生の獲得に他ならない。常に新規生を獲得する努力を続けてほしい。

新規生を獲得するためにはある程度の投資が必要である。投資をするためには利益が必要である。利益を生み出す方法も2つだ。売り上げを伸ばすか経費を削減するかだ。縮小均衡に入った塾業界では、経費の削減に力を入れているところが多い。もちろん、無駄な経費は削減しなければならないが、必要な投資まで削減してしまう塾がある。象徴的な例を挙げれば、「チラシの反応が悪くなったので、チラシの投入を辞める」という手段だ。投資を削減すると売り上げが落ち、さらなる経費(投資)削減を強いられるというスパイラルに陥る。いわゆるデフレ・スパイラルである。これでは塾(企業)の縮小均衡は止められない。

塾経営者には、こうした見極めをした上で、投資の最大効率化を図る能力が求められている。

まあ、こんな趣旨の話です。それまでの参加者の発言が「塾の運営」に関するものに終始していたため、あえて経営(ビジネス)の話をしました。

以前からお話していることですが、次年度へ向けた戦略構築をするタイムリミットは11月末です。12月に入ると冬期講習を先頭に、業界は最多忙期に突入します。現場に忙殺され、とても来期のことまで頭が回らなくなります。特に現場教師と経営者を兼ねているプレイング・マネージャーの方は。

ぜひ、残された期間に来期の構想を練ってください。キーワードは「安・(近)・短」です。「安」は、安心・安全・安価です。「短」は指導時間の短縮です。個人塾に多いのですが、「家ではなかなか勉強しない」という保護者の声を聴いて、「家でやらないのなら、その分を塾で面倒見よう」と、指導(拘束)時間を長く設定している塾があります。しかし冷静に考えてみれば、「家で勉強したくない生徒」が、わざわざ好んで指導時間の長い塾を選択するとは思えません。いかに指導内容を凝縮し、効率化を図るか。そして、家でも勉強するように生徒のモチベーションをいかに上げるか。その手腕が必要なのです。

何事も極端に立たないと画期的なアイディアは生まれないといいます。例えば、「今の半分の指導時間で、今以上の学習効果を生み出すにはどうするか」…そんな立ち位置から思考してみることです。きっと、新たな閃きがあなたに生まれることでしょう。

なお、誤解のないように捕捉します。「安価」とは絶対値ではなく相対値です。たとえ授業料が10万円でも、「これで10万円ならば安い」と思わせることが重要だという意味です。

 
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