モリモリ元気レポート[113] -つむぎクラブ掲載文より

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森智勝氏

テニスの錦織圭選手が全米オープンで、日本人はもちろんアジア男子選手として初の決勝進出を果たしました。決勝ではマリン・チリッチ選手に敗れ準優勝に終わりましたが、それでも堂々たる快挙です。同じ日本人として誇らしい限りです。ただ、そうしたお祝いムードの中、ひとつだけ懸念することがあります。

準決勝に勝利し、決勝を迎えるまでの数日間、多くのメディアが報道し、決勝の予想をしていました。そのほとんど(私が目にしたものは全て)が錦織選手優位を伝えていました。根拠としては錦織選手がランキング上位であること、過去の対戦成績が5勝2敗と圧倒していることを挙げていました。しかし、それが理由ならば、錦織選手がランキング1位のジョコビッチ選手をはじめとするランキング上位で、過去の対戦成績も劣勢だった選手を次々と撃破したことと矛盾します。本来は、「今」の実力を冷静に判断して評価する姿勢が必要なはずです。いえ、我々素人が贔屓目で論じるのはいいのです。ところがテレビに登場した元プロテニスプレーヤーの誰もが「錦織優性」を嬉々として伝えていたのです。中には「8割以上の確率で錦織が勝つ」と断言した解説者もいました。

日本中が錦織選手の快進撃に湧いている中、「錦織劣勢」を唱えることに勇気が必要なのは分かります。しかしプロならば、そうした中でも冷静に判断し、評価する姿勢が必要だと考えます。それでこそプロです。

「あなた」は学習指導のプロです。時には冷静に、厳しい評価を下す必要があります。

先生、今のままで○○高校に合格するでしょうか?…塾の現場では何度となく聞かれる質問です。さて、あなたは何と答えますでしょうか。特に、合格が危ういと考えている生徒に対して。中にはあいまいな回答で逃げている塾人がいます。曰く「それは、これからの君次第だ」

もちろん、間違った評価ではありません。ある意味「その通り」でしょう。しかし、その回答を受け取った生徒の気持ちになって考えてみてください。言葉通りに受け取って、「よし、これから頑張ろう!」と思えるでしょうか。反対に突き放された気持ちになるのではないでしょうか。

では、どのように対応すればいいのでしょうか -正解はありません。「あなた」の学習指導のプロとしての力量が試される瞬間です。

 
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