モリモリ元気レポート[112] -つむぎクラブ掲載文より

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森智勝氏

この夏は大雨の被害が各地で多発し、特に広島では70人以上の方が犠牲になりました。心よりご冥福をお祈りすると共に、被害に遭われた方にお見舞い申し上げます。

業界としては9月から後期に突入しました。秋の頑張りが来春の集客を大きく左右します。今は評判を作る時期です。夏の疲れが出る時期ですが、奮闘を期待します。

さて、この夏、大きなニュースになったのが「代々木ゼミナール」の校舎撤退問題です。3分の2以上の校舎を閉鎖し、400人の早期退職を求めるというショッキングなニュースです。浪人生中心のビジネスモデルにこだわったツケが回ってきた。いや、元から不動産業に転身する機会を窺ってきた企業戦略の一環だ…様々な論評を耳にしますが、いずれにせよ400人の方が職を失うわけですから、社会的責任を問われるのは仕方がないことでしょう。

ビジネスですから、時として勝ち負けは存在します。優勝劣敗は社会が発展するために必要な原理でしょう。だからこそ我々は「優勝」を目指して日々、努力を続けなければなりません。それが社会に貢献するということです。以前もお話したことがありますが、日本人は社会貢献を「身を削って(自己犠牲で)行う行為」と勘違いしている傾向があります。いわゆるボランティアに対する認識にそれがよく表れています。

私はボランティアやチャリティも尊い行為だと考えますが、同時に、ビジネスも尊い行為だと考えます。これはカテゴリー(属性)が違うもので、どちらが尊いかと優劣を付けるものではありません。そして、誤解を恐れずに言えば、社会を進歩・発展させてきたのはビジネスです。我々はビジネスとして塾経営をし、そのことによって人材育成という社会貢献をおこなっています。その意味で、医者が「優」で塾が「劣」などということはありません。ただ、医者の中に「優」と「劣」が存在し、塾の中にも「優」と「劣」が存在しているだけです。そして、「劣」は市場原理により自然淘汰されていく…それが原理です。かつて、塾は必要悪だと言われました。必要なものに悪はありません。我々は堂々と「優勝」を目指して進むべきであり、その社会的責務を負っているのです。

小難しい話をしましたが、要は「多くの塾生を獲得し、売り上げ(利益)向上を目指すことは大切だ」ということです。利益至上主義は社会貢献主義と同意語です。姑息な手段で利益を上げている企業は早晩、社会から見捨てられます。

ただ心配なのは、一部に劣敗の道を歩んでいる塾が存在することです。本来、「優勝」すべき能力がありながら、ほんの少しの意識変革が出来ずに劣敗の道を(多分、本人は無意識のうちに)歩んでいます。私はそれを「もったいない」と思いますし、同時に通われている生徒・保護者、その地域にとっても不幸なことだと思います。

先日、30年以上塾経営を続けて来た方から緊急SOSが入り、訪問してきました。聞けば、ここ数年は赤字を続け、貯金を切り崩して塾を維持してきたとのこと。その貯金が底を尽き、万策尽きて私に助けを求めてきたのです。まあ、「そうなる前に何故、手を打たなかった(私に連絡してこなかった)」というセリフは飲み込んで事情を聴きましたが…やっぱりです。意識が以前のまま、最盛期のままなのです。象徴的なのが、チラシに載せている「受付時間」です。「お問い合わせはお気軽に(午後4:00~)」となっています。以前はそれでも問題なかったのかもしれませんが、今どき、午後4時以降の受付をするということは、「問い合わせ・申し込みの電話はいらない」と言っているのと同じです。このコラムで何度も、「塾の常識は世間の非常識」という辛辣な?言葉を使ってきましたが、その典型です。

代ゼミ内部の事情は知りません。しかし規模の大小に関係なく、企業が社会から見放されるメカニズムは同じです。塾経営に情熱は必要です。しかし、情熱だけで経営を維持することはできません。世の中の動き、社会的ニーズを捉え、対応していく冷静さも必要です。「情熱と冷静の間」に我が身を置く意識です。

さあ9月、新たな気持ちで邁進してください。あなたのご活躍を心から期待しています。

 
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