モリモリ元気レポート[108] -つむぎクラブ掲載文より

写真
森智勝氏

ゴールデン・ウィークは「命の洗濯」ができましたか?塾業界にとって、数少ない休養の期間でしたね。

韓国・珍島沖で発生した旅客船「セウォル」号沈没事故のニュースが連日、テレビで報道されています。高校生という若者たち、それも修学旅行という楽しい行事の最中に起こった悲惨な事故に胸を痛めます。

こうした事故のニュースに触れるたび、危機管理について考えてしまいます。

危機管理の基本は「常に最悪を想定して対応策を考えておく」というものです。私はこれを「悲観的に考えて楽観的に行動する」と表現しています。

以前もお話したことがあったと思うのですが、多くの中小・個人塾が逆の発想をしています。楽観的に考えて、悲観的に行動しています。具体的に言うと、「この地域に大手塾は進出して来ないさ」と楽観的に考えて、いざ大手塾が進出してくると「もうダメだ。敵うはずがない」と悲観的になってしまいます。

日本は自由競争の社会であり、ましてや塾業界は何の規制もありません。いつ、どこに教室を出そうが自由です。それだけに日頃の危機管理は重要です。中小・個人塾に必要なことは、やはり地域との結び付きを強化しておくことに尽きます。私は個人塾の経営者には『地域のビッグダディになれ』と主張しています。自塾生も他塾生も…その地域に住んでいる子供たちは皆、我が子と考えることです。地域のイベントには積極的に参加し、顔を売り、その地域になくてはならない人物に自らがなることです。地元の学校とも積極的に関わることです。

私が塾経営をしていたときのことです。教室に、とある保護者(父親)が「息子をいじめている○○はどいつだ!」と怒鳴り込みに来たことがあります。連絡を受けた私は、すぐに教室に駆けつけ、父親をなだめ、何とかその場を収めました。翌日、ことの顛末を伝えるために中学校へ出向き、教頭先生、担任の先生をはじめとする先生方と「いじめ問題解決懇談会」?を定期的に開くことになりました。これなどは偶然、学校と関わることになった例ですが、その後、学校の先生がこっそりと自塾を勧めてくれるようになりました。もっとも、対象となるのは成績不振者ばかりでしたが…。

ビッグダディは、地域の教育に関するオピニオン・リーダーとして主張し、多くの保護者に「そうですよね」と共鳴されなければなりません。その意味で、これまでも何度もお話していることですが、チラシ・ホームページ等に塾長の顔も名前も掲載していないのは感心しません。堂々と顔と名前を売るべきです。

保護者・地域住民を巻き込んだイベント活動も重要です。ある塾では清掃活動、映画鑑賞会、講演会、食事会、田植え・稲刈り・餅つき、リレーマラソン…様々なイベントを保護者・地域を巻き込んで実施しています。

こうした不断の活動が地域との結び付きを強くし、なくてはならない人(塾)を作っていきます。そして、いざ大手塾進出という時、どれだけの人が自塾の味方になってくれるか…それが試されているのです。

何度も言いますが、良い授業をして生徒の成績を向上させることは塾の必要条件です。しかし、それだけでは強い塾は作れません。常に地域との結び付きを強化させる方策を採ること、それが中小・個人塾の危機管理です。

我々はビジネスとして塾経営をしている以上、沈没させることはできません。そんな船に大切な生徒を乗せることはできません。日頃から点検と整備を怠らず、生徒たちが安心して勉学に励める船にしたいものです。そう、あなたは「あなたの塾」の船長です。残念ですが、真っ先に飛び込める救助艇は存在しないと自覚してください。

さあ、ゴールデン・ウィークが終わりました。来たるべき定期試験、夏期講習に向けて全力を尽くしてください。

 
© 2015 全国学習塾援護会