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塾・新時代のマーケティング論(92)
人は言葉で理解し、行動する/コピーライティング能力を磨け!

森智勝氏

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 ある著名なマーケッターが、「ビジネスにおける最も重要な要素は何ですか」という質問にこう答えています。

 「1つだけ挙げるとしたら、言語力です。どんなに優れた商品でも、お客様の手に渡らなければ意味がありません。そして、セールスの現場では絶対に言語力が問われます。逆に言えば、言語力さえあれば、どんな分野の商品も(もちろん、商品力が本物であることが前提ですが)売ることができます」

 塾というビジネスは究極のアナログです。どんな分野のビジネスよりも言語力が必要とされることは言うまでもありません。ところが、塾の歴史が積み重なり、規模が大きくなるにつれて言語力が衰退する傾向が強くなります。原因は「定型主義」「前例主義」です。例えば今の時期、中3生を対象とする「受験直前講習」や、中2生を対象とする「スタートダッシュ講座」の案内を作成することがあります。すると、それを指示された職員の多くは、「昨年の案内」をデータで引っ張り出し、微修正を加えただけで作成してしまいます。その「昨年の案内」も同様の手順で作られていますから、何年もの間、同じ文面が伝統のように続けられることになります。

 なぜ、このような事態が起きるのでしょう。それは、前例に倣った方が楽だからです。もし、反応が鈍かった場合、「おかしいですね。昨年と同様の案内を配布したのですが…」と言い訳をすることができます。言外に「自分のせいではない」と言っているのです。これは究極の無責任主義です。

 実は、とある個別指導専門塾から上記の「受験直前講習」と「スタートダッシュ講座」の案内文校正の依頼を受けました。ここで紹介するのは控えますが、見事な「定型文」です。これを見た保護者(特に母親)の感想は決まっています…ああ、またお金が掛かる…コレです。このような状態では高い受講率を望むのは難しいでしょう。

 今回、私が作成した「見本」を提示します。「これが最高」と主張するつもりはありません。スタッフのコピーライティング能力を向上させるきっかけ、参考になれば幸いです。共に、A4用紙1枚に収まる内容です。コツは…「例え話」(両文章の前段参照)を上手に利用することです。直接的な表現よりも、別角度から切り込む方が人の心に訴える文章になります。そして最も大切なことは、「あなたの熱意」を伝えることです。

 1 受験生対象「入試直前講座」

人生初めての受験を
    不安に思っている「あなた」へ

 日本ゴルフ界の重鎮、青木功選手はパットの名手として有名です。独特のフォームから必ずオーバーするようにボールを強く打ちます。「届かないパットは絶対に入らない」というのが氏の主張です。

 ある時、若手プロゴルファーが質問しました。

 「そんなに強くパットして、外れた時のことは考えないのですか?」

 青木プロの答えは明快です。

 「外れた時のこと?そんなものは外れてから考えればいい。そんな心配をしていると、入るパットも入らなくなる」

 パットを打つ時は、「入れることだけを考えろ」と言うのです。

 受験も同じです。

 落ちた時の不安は誰にでもあるでしょう。しかし、そんな心配をしていたら、合格するはずの学校にすら落ちてしまいます。ひたすら合格することだけを考えて勉強すればいいのです。そして万が一、不合格だった時は塾に責任を押し付けてください。私は「あなた」の不安と責任を全て引き受けます。

 ただ、あなたには青木選手のように強くパットを打ってほしい。そのために、担当講師と塾長である私が熟考して、「あなたに必要なラストスパート・カリキュラム」を策定しました。これで志望校に合格しなかったら、どうぞ、全てを塾のせいにしてください。残された3ヶ月、我々も覚悟を持って指導に努めます。

 追伸 保護者各位

 正直、ラストスパート・カリキュラムの提案には躊躇しました。ご家庭に短期間とは言え、新たなご負担を強いることになるからです。しかし、生徒に『あの時、もっと勉強しておけば良かった』という後悔だけはして欲しくない…。今回ご提案のカリキュラムに無駄なものは一切含まれていないことをお約束いたします。趣旨をご理解の上、お子様の最後の頑張りをご支援いただきますよう、心よりお願い申し上げます。

 2 中2生対象「スタートダッシュ講座」

 「4月になったら頑張る」は
本当ですか?

 今の時期、受験学年を前にした生徒は皆、言います。「4月になったら頑張る」と。

 しかし、その生徒は4月になっても頑張りません。次は「ゴールデンウイークが終ったら頑張る」と言い出します。ゴールデンウイークが終ると、「部活が終ったら」「誕生日が来たら」「夏休みになったら」…。彼は、「頑張るきっかけ」を探しているのではなく、「今、やらない言い訳」を探しているに過ぎないのです。こうして次々と先送りをして結局、納得のいく勉強をしないまま受験を迎えてしまう生徒の何と多いことか…。

 人は意欲があるから行動する生き物です。では、その意欲はどこから湧いてくるのでしょう。逆説的ですが、人は行動することで意欲を高めるメカニズムを体内に持っているのです。例えば、接待のためにやむなく始めたゴルフに、いつしか夢中になり一生の趣味としてしまう人は多いものです。

 学習意欲も同じです。

 初速度Aを獲得するまでは、「外部の強制力」を利用してでも歯をくいしばって勉強することです。すると、体内の「意欲製造装置」に火が付きます。明日の学習意欲が湧いてきます。

 ○○塾では、受験学年を前にした「あなた」の心に火を灯すため、「受験対策キックオフ講座」を開講します。あなたの受験に必要なカリキュラムを作成し、他のライバルに先んじて受験対策を開始します。スタートダッシュで差をつけることは、全ての競争において必勝の策であることは言うまでもありません。

 また、学習効果の面から言っても早期学習は有効です。受験直前の1時間も、今の1時間も同じ「1時間」です。ところが、学習効果は3倍程度違うことが知られています。受験を前にした緊張感と焦りの中では充分な学習効果が得られないのです。受験までの1年余りを見据え、綿密な計画の下、「今、取り組まなければならない課題」にじっくりと取り組むことで、大きな成果を生み出します。

 あなたの心に火をつけ、学習効果も3倍高い「受験対策キックオフ講座」です。この講座でライバルに差を付け、充実した受験学年に突入しましょう。

 保護者各位

 後悔には二種類あります。「やった後悔」と「やらなかった後悔」です。前者は必ず昇華させ、克服することができますが、後者は取り戻す術(すべ)が無く、生涯悔やみ続けることになります。生徒たちに、そんな後悔はさせたくありません。確かに、行った学校の名前で人生が変わることはありません。しかし、その学校を目指して精一杯の努力をした者と、怠惰に過ごした者は、大きく人生を変えてしまいます。ご家庭に若干のご負担をお願いするのは心苦しいのですが、今回ご案内する講座の趣旨をご理解の上、お子様に対するご支援を心よりお願い申し上げます。

 
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