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塾・新時代のマーケティング論(80)
貴塾の力量が落ちると悪徳業者?が闊歩する

森智勝氏

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 これから書く内容は、別のコラムでも紹介したのですが、どうしても一人でも多くの塾人に警鐘を鳴らしたく、「速報」でも取り上げることにしました。

 先日、高校の同級生から相談を受けました。高校2年生の息子さんに「とある予備校」から勧誘の電話が入り、前日に親子三人で説明会に行ってきたというのです。息子さんと奥様は大変気に入り、入学を決めようとしているのですが、一抹の不安?を感じて私に問い合わせてきたのです。

 「倒産寸前だとか詐欺集団だったとか、後で取り返しが付かないことだけはしたくないので、分かる範囲で教えてください」と言うのです。

 この「とある予備校」が「トンデモ予備校」なのです。まず、これまでに何度も名称を変更しています。調べてみると、過去に強引な勧誘で問題を起こしているところでした。

 まず、普通の予備校は電話勧誘などしませんよね。それだけでも「?」なのですが、なぜ、一般の家庭が簡単に信用してしまうのでしょう。友人の家庭が体験した経過を元に警鐘を鳴らしたいと思います。

 まず、ビックリしたのが、「説明会」に5時間以上も費やしていることです。担当者はセールスのプロです。本人はもちろん、巧みな話術で母親も(多分、父親も)感動させ、その気にさせます。その手法はフル・コミッションで訪問販売をしているプロのセールスマンの手口そのものです。息子の手を握り「一緒に頑張ろう!」と呼びかけ、保護者には「今の息子さんの意欲を無にしないで下さい」と迫ります。5時間も客を飽きさせない話術?には感心します。

 父親曰く「説明は午後4時から9時半くらいまで主任指導員の○○氏から受け、大学受験までのプロセス、目標実現に必要な心構えや最後は親への恩返しに至るまで、笑いあり、涙あり、教訓ありで息子も妻もすっかりその気になっています」

 その予備校が提案するコースは、家庭に映像教材を配信し、質問も大学生がネットで応じる「家庭自学自習コース」です。ところが、プロモーション映像以外、その映像教材の見本もなければ、カリキュラムもハッキリしません。次のように説明されたそうです。

 父親曰く「料金はどこにも出ていませんが、高校2年生の半年間は無料、高校3年の4月~12月末が英、数、国、理2科目、社1科目(国立理系コース)で108万くらいです。履修の講義時間数は事前のチェックテスト・オリエンテーション(3者面談)によってカリキュラムが組まれてから決まるそうで、週時間数やトータル時間数などの説明はありませんでした」

 我々プロから見れば、あまりの不自然さに驚嘆します。講義時間数も決まっていないのに、108万円という授業料だけが決まっている…有り得ないことです。また、教材の家庭配信だけで108万円(8ヶ月)は高すぎます。

 父親曰く「通塾とインターネットスクールと完全に分けているので、塾での講義や質疑応答などは全くできないとのことです」

 後日、父親から見せてもらったパンフレットは、A4三つ折の全く内容のないものでした。

 大学受験指導はプロでなければ務まらない専門分野です。厳しい受験生活を支え、叱咤激励し、生徒に合った無駄・無理のないカリキュラムを作成する。年度の中で何度も修正を掛け、最適な学習レールを提示する…とても素人に出来る技ではありません。だから、スクーリングは絶対に必要です。たとえ映像教材を利用するにしても、自宅で一人、勉強するのと予備校で教師が見守る中で勉強するのとでは学習効果に雲泥の差があります。多少面倒でも、週に数回は予備校に通うべきです。そこには、心から生徒の合格を願ってくれる人がいます。カリキュラムも講座も決めずに100万円を出せと言う人は一人もいません。

 貴塾もそうですよね。

 ちなみに、友人の家庭は私の説明に納得し、某まともな予備校に入学を決めました。

 私は訪問販売というビジネス手法そのものを否定するつもりはありません。また、100万円以上という価格が不当とも思いません。問題は、商品そのものが本物かどうかが問われているのです。商品が本物で、消費者も納得の上で売買契約が行なわれているのならば問題はありません。しかし、上記のケースは商品の実体がどこにもなく、映像そのものを自社で開発しているかどうかも疑わしい。それを手練手管のセールストークで売りつけようという魂胆?が透けて見えます。

 こうした胡散臭い業者から生徒を守るのも、あなたの役目です。あなたの塾が多くの生徒を集め、とんでもない業者に引っ掛かって不幸になる生徒を一人でも救って下さい。また、高校部がない塾でも、あなたの大切な塾生が不幸にならないように近隣の予備校の情報を収集し、啓蒙活動をすべきです。

 この情報をいち早くお伝えした他県の塾から電話が入りました。

 「先日、卒塾生の母親から全く同じ相談を受けました。事前に情報を聞いていたので、冷静に対応できました」

 どうやら、全国に同じような事例があるようです。それを知り、「速報」を通して皆さんに警鐘を鳴らすことに決めました。

 あなたの塾の素晴らしい「商品」を広く知らしめること(マーケティング)は、絶対に社会正義です。奥床しい本物は、時として厚かましい偽物に負けてしまうことがあると肝に銘じましょう。

 
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