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塾・新時代のマーケティング論(78)
女性の能力を生かせる企業は強い

森智勝氏

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 現在は草食系男子に肉食系女子の時代だとか。

 実際、なでしこJAPANのW杯優勝、宮里藍選手のエビアン・マスターズ優勝と、スポーツ界でも最近の明るい話題は女子選手が提供してくれています。

 実社会でも女性の活躍は目覚しいものがあります。もっとも、ちゃんとフィールドを与えてあげれば、女性も男性と変わらぬ能力を発揮できるのも当然のことです。腕力以外、女性が男性に劣っているところは見当たらないのですから。

 どうも、相対的に日本男児が弱くなっているのが根本にあるようです。かつては「オタク」と言えばマイノリティだったのが、現在では「日本男子総オタク化現象」です。「巨人の星」「明日のジョー」に代表される強い日本男子の復権はあるのでしょうか。私は、強く逞しい…大和魂を持った日本男児の復権を望んでいます。そう言えば、なでしこJAPANの佐々木監督は「横から目線」で選手と向き合うと言い、選手からは「ノリさん」と呼ばれています。「俺について来い!」の大松監督が懐かしい…年をとった証拠でしょうか。

「婚活ブーム」の火付け役として有名なライターの白河桃子さんは次のように言います。

 (前略)なでしこジャパンが世界一に!暗い日本に希望の光をもたらしてくれた、カッコいい女子たちに拍手!彼女たちの女子力の源は、メンバーの指に施されたブルーのジャパンカラーのネイル。試合ごとに違うネイルを、みんなお揃いでやるそうです。「サッカー選手がおしゃれできるところは唯一指先だけ」なんだとか。チーム全員で同じネイルをすることで心をひとつにする――。なんとも女子っぽくてステキな話ではないですか。(中略)

 ある女子大生が「追われた生活がイヤ」と言っていたのを聞いて、「ゆるく生きることが幸せ」な世代なのだな、と思いました。しかし秘めたる潜在能力は高い。志もある。それを引き出すチャンスやひっぱってくれる人がいればちゃんと輝けるのです。…いつも「自分の可能性を低く見ている」彼女たちを、もったいないなあと思っていました。でも、そんな「ゆる生き世代」も、立ち上がり、頑張るときがある。それは「チーム力」を発揮するときです。目標が与えられ、それに向かって「チームで頑張る」となると、この世代は強い。AKBもなでしこも、一人より、チームで強いのです。

 さらに女子たちが「チームで輝く」ために欠かせないのが指導者の力。秋元康さんは競争がきらいな世代を競争させるための過酷な「総選挙」制度を作った。そして、なでしこの佐々木則夫(ささきのりお)監督は1958年生まれ。なでしこから見たら立派なおじさんです。(後略)

 塾業界も女性社員の活躍には目覚しいものがあります。20代の女性は、精神的に5歳程度男性よりも高いと言われています。また、目の前の業務に集中する力は男性よりも高い。その上、チームプレーに優れているとなれば、彼女達の能力を生かさない手はありません。

 ただ、業務の性質上、夜間の勤務になるため、結婚、出産を期に退職する例が圧倒的です。実にもったいないことです。私の知っている数少ない女性幹部社員は、組織内で大きな役割を果たしています。女性社員が結婚、出産後も働ける労働環境と風土を作りたいものです。

 また、白川氏は、そうした女性達をリードする上司として、佐々木監督や尾木ママを例に挙げ、「おばさん上司」の重要性を説いています。

 (前略)佐々木監督を見て、すぐに「これは『おばさん上司』だ!」と思いました。昨年あたりからプレジデント誌の編集者K女史と「これからはおばさん上司の時代」と言い合っていたのです。「俺についてこい!」という上から目線の押しつけ型昭和上司…。つまり、あっという間に辞任してしまった松本龍・元復興大臣のような男ではなく、尾木ママ(尾木直樹氏/教育評論家)のような"おばさんおじさん"こそが激動の時代に勝つ上司なのです。

 当たりが女性のように柔らかく、人の気持ちをくみ、柔軟で、とりまとめがうまい。世話焼きおばさんのような上司です。「そうねえ…。気持ち、わかるわ。でもね」なんて言いながらいつの間にか部下は彼の言う方向に動き出す。上から引っぱるのではなく下からのボトムアップで全員の能力をアップする。それがおばさん上司です。プレジデントのKさんは、社長など企業の幹部に会う機会が多いので「XX社の新社長もおばさん上司でした」と報告してくれます。

 女性の労働人口がこれだけ多くなり、乙女のような柔らかい心を持った男子も激増している時代。「女の人を気持ちよく働かせることができる」人が、これから勝つ上司です。(後略)

 文字通りのおじさん世代としては忸怩たるものがあるのですが、最近の若者をリードし、組織をまとめるには「おばさん上司」の有用性を認めざるを得ません。それは、今、流行の中性的男性が良いというのではなく、相手の感情や細かいところまで心配りができる上司が必要だという意味です。

 ビジネスとしては、考えるまでもなく「時代の要請」に合わせるべきです。いつも言っているように、「こだわり」は時代に求められて初めて威力を発揮します。時代に受け入れられない「こだわり」は「百害あって一利なし」です。

 ただ、「おばさん」の弱点だけは克服した上司にならなければなりません。身近な部分しか見えない女性特有の近視眼的…こんなこと書いたら、「最近は男性の方が近視眼的だ」とお怒りのクレームが殺到しそうですね。そう言えば、本誌を発行している私塾界の現社長も女性でした…男女に関わらず、リーダーにとって大局観は必要です。

 
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