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塾・新時代のマーケティング論(68)
進路面談を塾の評判作りの場にするⅢ

森智勝氏

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 前回、面談のシュミレーション(悪い例)を紹介しました。なぜ、評論家的な面談になってしまうのでしょうか。理由は「事なかれ主義」です。誰からも非難されない面談をしようとすると、そこにある数字(得点、順位、偏差値)をなぞるのが最も無難に思えてしまいます。結果、来塾した生徒、保護者が疲れて帰っていくことになります。

 面談は、生徒も保護者もモチベーションを上げてもらう機会です。この塾でもう少し頑張ろうと思わせなければいけません。

 面談をする時は、1つでもいいですから具体的な対応策を「形」で示すことです。「形」とは教材を用意することです。その生徒にとって必要な課題を指摘するだけではなく、対策教材を渡してあげて初めて、塾の熱意は伝わります。こうした提案をすると、「担当する中3だけでも50人います。忙しい中、とても短期では個別教材を準備できません」という声が聞こえてきそうです。

 忙しいから…

 分かります。塾人は朝から晩まで夜中まで仕事をしています。熱心な塾人ほど長時間勤務をしています。どれだけ時間があっても足りないという思いは理解できます。でもね…

 「やらない理由」を「忙しさ」に求めていると、何も出来なくなります。

 昔、塾経営をしていた頃、ある教室の「乱雑さ」を指摘し、教室長を叱責したことがあります。すると、その教室長から反論されました。「私は毎日、サボっているわけではありません。それどころか、教材の準備や講師たちへの指示書作りに忙殺されています。忙しくて毎日掃除をする時間などありません。」

 ビジネスをしていれば忙しいのは当たり前です。暇な会社は潰れます。その「当たり前のこと」を理由にし始めると、止め処がなくなります。何でも「忙しいから」で先送りをしてしまいます。すると、どうなるか。結局、前例主義に陥るのです。何度も言いますが、前例主義で発展する企業は皆無です。

 時間は誰にでも公平に1日24時間です。その中で最も時間対効果?の高い仕事をするのが重要です。そのために「仕事」と「作業」の話や、緊急度と重要度の話をくどいほどしてきました。

 「あなた」やスタッフが忙しいのは重々承知しています。しかし、せっかく面談を行なうのなら、最大限効果のある面談にしなければ意味がありません。模試結果を基にした面談の場合、対策教材は必須と考えます。

 さて、面談に話を戻しましょう。

 事前準備をした面談は、次のようになります。前回のシュミレーションと比較して下さい。

担当者 こんにちは。今日は暑い中、ご来塾いただき、ありがとうございます。

保護者 よろしくお願いします。

担当者 早速ですが、8月末に実施した県模試の結果ですが…□□君、どんな結果だと思う?

□□君 えっ?あまり良くないと思う。

担当者 そうか?ジャーン!

(帳票を広げて本人・保護者に見せる)

担当者 見てごらん!夏期講習で頑張った社会が10ポイントも伸びたよ。全体でも2ポイントアップ。これを見たとき、先生、飛び上がって喜んじゃった。苦手な暗記科目に必死で取り組んでもらったよね。あれだけ辛い勉強をして成果が出ないはずはないと思っていたけれど、それでも帳票が届くまではドキドキだった。頑張ってくれてありがとう。夏休み前にお話したように、夏期講習では□□君が最も苦手意識を持っている暗記科目の社会に重点を置いて指導しました。そして、しっかりと結果を出してくれました。これで証明されたように、□□君は決して暗記科目が出来ないわけではありません。

保護者 今まで、学校のテストでも平均点を取ったことがなかったので、ビックリです。

担当者 はい、社会で達成できたことが、同じ暗記科目の英語で出来ないはずはありません。同じように真剣に取り組めば、必ず成果が出ます。そこで…(対策プリントを取り出す)□□君の英語の偏差値を3ヶ月で10ポイントUPさせるための対策プリントを作ってきました。今日から毎日1枚、このプリントに挑戦しませんか?もちろん、私が全面的に責任を持って指導します。また、夏期講習のように辛い勉強になるかもしれませんが、必ず社会と同じように結果が出ます。どう?□□君、挑戦してみないか?

保護者 やるよね?

□□君 ウン!

担当者 ありがとう。もし、断わられたらどうしようと心配していたんだ。苦労してプリントを作った甲斐があったよ。ところで、もう一枚の帳票にあるように、□□君の第一志望校の合否判定は、まだCランクです。合格基準には5ポイントほど足りません。しかし、もし、英語が社会と同じように10ポイント上がって、他の科目も今の勢いで上がってくれば、可能性は充分にあります。次の模試と学校の期末試験までは目標を変えずに、トコトン挑戦させたいと思うのですが、その方針でよろしいでしょうか。

保護者 はい、本人がその気で頑張ってくれるのが一番ですから。

担当者 ところで、夏休み明けの勉強の様子、ご家庭ではいかがですか?

保護者 部活も終って勉強する時間はあるはずなのですが、その分、ゲームをやったり、テレビを見たりする時間が増えて、勉強時間はあまり変わっていないように見えます。

□□君 そんなことないって!ちゃんと、勉強しとるわ!

担当者 夏休みに塾で頑張った反動が、少し出ちゃったかな?でも、大丈夫です。これから英語の対策プリントを追加してやらなければならないし、もう一度、家庭学習の計画を相談して作り直します。部活で培った気力が今後に生きてきます。他に、何かご質問、ご要望はありますか?

保護者 英語の対策はしていただけると分かったのですが、数学も伸びていないようなのですが、このままでよろしいのでしょうか?

担当者 はい、もともと□□君は理数系が得意ですが、今回のテストはグラフと方程式の文章題でつまずきました。夏期講座で、社会と理科の暗記科目を重点に勉強しましたので、この結果は想定内で心配していません。以前はミスの多かった基本問題は平均点以上できています。応用は、10月から始まる受験対策講座の中でしっかりと指導しますので、□□君ならば充分に間に合います。今回、お持ち帰りいただく資料の中に対策講座の案内が入っています。

保護者 分かりました。これからもよろしくお願いします。

担当者 はい、□□君は頑張る力を持っていますので、今後の伸びが私も楽しみです。□□君、次のテストでご両親が「あっ」と驚く結果を出してやろうな!

□□君 はい!

担当者 今夜、お父さんがお帰りになったら、□□君の夏休みの頑張りが結果に出たことを、お母さんからお伝え下さい。今日はお忙しい中、ありがとうございました。

保護者・□□君 ありがとうございました。

 いかがでしょう。まあ、紙上のケース・スタディですので、実際は臨機応変が求められますが…。少なくとも、事前準備をすることで余裕を持った面談になることは間違いありません。「我が子のためだけの教材を準備してくれていた」という保護者の思いが「面倒見の良い塾」という評判を作っていきます。面談力の向上は、話術ではなく事前準備によって図られるのです。

 
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