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塾・新時代のマーケティング論(58)
社員教育にも個別対応法が必要な時代

森智勝氏

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 明けましておめでとうございます。

 塾業界にとっては大転換期となるであろう2010年を迎えました。今年一年の動向が向こう10年の趨勢を決定付けることになると予想されます。皆さんの持てるエネルギーを、この一年に全て投入する覚悟で臨んで下さい。

 これからの時期は入試に向けた現場仕事と、新しい人員(新入社員)を迎える内部仕事の両方が必要な最多忙期に突入します。特に、一昨年秋からの不況は塾業界の人材確保には追い風となり、今年も多くの優秀な新人が業界の門をくぐって来ることでしょう。希望と理想に満ちた彼らが、より逞しく成長し、貴重な人材になることを心から期待します。

 そこで必要となるのが新人研修ですが、最近の若者は良くも悪くも多様性に富み、以前のような画一的対応では上手く成長しない傾向が強くなっています。ここでも個別対応の重要性が指摘されています。ここでは性格心理学で言われるエニアグラムの9つのタイプに分類して考えてみます。

 タイプ1:完全主義者「いつでも完璧でありたい」・正しいこと、あるべき理想に向かってコツコツと努力する人。

 タイプ2:献身家「人の役に立ちたい、人に尽くしたい」・人間関係を最も大切に考える人。

 タイプ3:達成者「成功したい」・人生の価値を成功したか否かで測る人。

 タイプ4:芸術家「特別でありたい」・自分のことを他人とは違う特別な存在だと思っている人。

 タイプ5:研究者「物事の本質を知っていたい」・常に物事を冷静に観察し、本質を見抜き頭で理解したいと思っている人。

 タイプ6:堅実家「義務と責任を果たすことによって守られたい」・組織やみんなから信頼され、自分の責任を果たしていきたいと思っている人。

 タイプ7:楽天家「人生を楽しみたい」・人生は本来明るく楽しくなければならないと考える人。

 タイプ8:統率者「自分の正義を実現したい」・自分が正しいと信じる道を全力で突き進んでいく人。

 タイプ9:調停者「平穏でありたい」・穏やかで、常に周りとの調和を図っていきたいと思っている人。

       参考:「問題解決のための質問力」オーエス出版社 木村孝・高橋慶治著

 こうした分類の上に個別の対応法を考えないと、同じ1つの言葉に対する感じ方、捉え方が違っていることに気付かずに事を進めてしまいます。最も注意すべきことは、研修担当者と受講者(新入社員)との間に生じる感覚のズレを、担当者自身が気付かないことです。そして、嘆きだけが生じます。

「最近の若者は何を考えているのか分からない…」

 それは、若者が変質したというよりも、社会全体の要請が多様化に向かっている結果なのです。実際、我々塾人の大半が、「子供たちの個性を大切にします」と折に触れ訴えているはずです。そうして育った若者に対して、突然、画一的な価値観を持ってもらおうと期待する方が間違っているのです。嘆くよりも、そうした新人達の傾向に合わせた研修方法を工夫することの方が建設的です。

 1つだけ別の方法があります。それは、そんな小さな個々のタイプの違いを凌駕するほどの圧倒的なエネルギーと魅力で新人達を傾倒させることです。ただ、これはカリスマ的経営者が存在する企業にしか通用しない手法であり、ごく普通の企業には無理な手法です。

 上記のようなタイプを分類するには専門機関の力を借りるのが安全ですが、簡単な質問に答えてもらうだけで、ある程度の分類は可能です。例えば、「必要なことを継続するのに最も重要なことは何か」という質問に対して、それぞれのタイプ者は次のように答えています。

 タイプ1:完全主義者「小さな努力の積み重ねを大切にすること」

 タイプ2:献身家「共通の目的を持つ仲間、ライバルを意識すること」

 タイプ3:達成者「目標を明確に持つこと」

 タイプ4:芸術家「自分なりの判断基準、価値観をしっかり持つこと」

 タイプ5:研究者「アクションプランの作成とチェックを欠かさないこと」

 タイプ6:堅実家「絶対にやり続けると回りに宣言して自分に責任を持たせること」

 タイプ7:楽天家「楽しみとリンクさせて実行すること」

 タイプ8:統率者「目的を明確にして本気で取り組むこと」

 タイプ9:調停者「気張らず、無理をせず、できる範囲で実行すること」

 「継続させる」という同じ目的に対しても、これだけ回答が違ってきます。言葉を変えて言えば、何かを継続させるためには、それぞれの性格に合わせた指示・命令をした方が達成率は向上するということです。
 これからの塾業界は子供たちに対する個別対応が不可欠と言われていますが、同様のことは社員教育にも言えるのです。人材が文字通り「人財」になるかどうかは、企業(塾)側の対応1つで変わります。商品をお渡ししないサービス業である塾業にとって、ある意味「人」が全てです。大不況というピンチをチャンスに変えることは、単に優秀な学生を大量に採用するだけではなく、そうした育成方法をも見直すことで成就するのです。

 
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