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塾・新時代のマーケティング論(52)
商品の特長と顧客のメリット

森智勝氏

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7月を迎え、各塾では夏期講習の準備にお忙しい毎日のことでしょう。最高の講習を実施することによって、後期生獲得につなげてください。
私は、自らが主催する「至上最強の塾経営セミナー」の4大都市(東京、福岡、名古屋、大阪)での開催が終了し、一息ついているところです。不況、そして新型インフルエンザ騒動の中、ご参加いただいた方、協賛していただいた企業各位、そして全ての会場でサポートしてくださった私塾界の加藤氏、中田氏に御礼申し上げます。

このコラムでも何度もご紹介しているコンサルタントの宇井先生から実に示唆に富んだ文章をいただきました。塾経営にとっても重要な指摘ですので、内容を集約してお届けします。

◆特長とメリットの違い
商品の特長とは、その商品が持っている固有の性質や、性能・機能であり、ほかの同じような商品と比べて優れている点ということでしょう。メリットは、その商品を使用した人が得られるいいこと、といえるでしょう。メリットはあくまでも顧客の視点です。(中略)
そもそも、なぜ商品の特長とお客さまのメリットを区別して考えなければいけないのでしょうか?それは、これらを区別するクセをつけておかないと、営業マン(ビジネス・マン)としてやってはいけないことをやりがちになるからです。そのやってはいけないこととは、「お客さまの求めていること(ニーズ)を確認する前にいっしょうけんめい商品の特長を説明してしまうこと」です。お客さまのニーズを聞く以前に、「自社製品は、競合企業と比べてこれだけ小さいです!」と、比較した図を示したりしています。商品のよさを分かってもらえば、売れると思ってしまいます。特長とメリットを区別する概念がないから、お客さまのニーズを聞く前に、「うちの商品にはこんな優れた点があるんです。だから、お客さまにとってもお得でしょう!」という営業になります。特長=お客様にとってのメリットとの思い込みが原因です。営業マンとして大切なのは、お客さまに商品の特長を分かってもらうことではありません。大切なのは、商品を使ったときの「お客さま固有のメリット」をいかに具体的に、いかに鮮明に、お客様の頭の中でイメージさせられるか、です。また、本来は、お客さま固有のメリットは、お客さまのニーズを聞かなければ、話ができないことです。このことを認識するためにも、特長とメリットは区別して考えるクセが必要だと思うのです。(後略)

塾においての「商品」とは言うまでもなく「授業」です。多くの塾がチラシで、ホームページで、入塾案内で…一生懸命に「商品の特長」を訴えています。しかし、そのこと自体がイコール「顧客のメリット」ではないことを十分に認識しなければなりません。そうでなければ、独りよがりの押付けセールスになってしまいます。もちろん、特長を伝えることは重要なのですが、それは必要条件であって十分条件ではないということです。「子供にとって塾の指導を受けることによってどんなメリットがあるか」を具体的に鮮明にイメージさせられる説明が不可欠です。そして、最も重要なことは「それぞれの生徒固有のメリット」を提供できるかを常に意識することです。塾に通う子供には様々なニーズがあります。「成績を上げたい」「志望校に合格したい」「学習習慣を身に付けたい」「学校授業を理解できるようにしたい」…。そうしたニーズ全てに応えるのは難しいように思います。
宇井先生が指摘しているように、メリットを提示するためには顧客のニーズを把握しなければなりません。その上で、自分の塾がニーズを満足させられるかを判断する必要があります。なぜなら、客(生徒・保護者)は授業を求めてやってくるのではなく、勉強に関する問題解決法を求めているからです。
以前もお伝えしたマーケティングの有名な格言があります。
「1インチドリルが1万台売れたのは、ドリルを欲する人が一万人いたのではなく、1インチの穴を欲する人が一万人いたのである」
つまり、我々が売らなければならない本質は、授業を通した「問題解決方法」なのです。自塾が所有している問題解決方法が相手のニーズに合っていない、メリットが少ないと判断したなら、より最適な方法をおススメすることも必要です。「当塾はどんな子供でも受け入れます」というのは、真摯なようで、その実、無責任な態度なのです。
例えば、「この子は集団授業よりも個別指導が必要だな」と判断したなら、近くの優良な個別指導塾をおススメすることも覚悟すべきです。確かに、その目の前の客は逃すかもしれませんが、「客の最大限のメリット」を心掛ける塾は地域から絶対に支持されると確信しています。その他塾に行かせた保護者も、同じように子供の勉強で悩んでいる友人には「あの塾に相談してごらん。親身になって考えてくれるよ」と勧めてくれるはずです。
そして、その客の最大メリットを自塾が提供できると確信したなら、堂々と自信を持ってセールスをすべきなのです。
マーケティングの極意は、誤解を恐れずに言えば「騙されたと思って買ってごらん」と勧め、買った人に「ああ、騙されて良かった」と思ってもらうことです。その繰り返しが信用・信頼を築いていきます。どれほど商品の良さを強調しても、人は買ってみなければ「その商品の良さ」を実感できません。いくら「まったりとして、それでいて後味がよく…」と説明されても、食べてみなければ料理の美味しさは分からないものです。それが本当に相手の固有メリットに適うと確信したならば、プロとして堂々とセールスし、その期待に応えることです。その不断の営みを続けることがプロとしての資格だと思うのですが。
さあ、夏期講習が始まります。学習指導のプロとしての腕の見せ所です。自塾生、外部生を問わず、「この塾の授業、先生は凄い」と思わせる授業を展開して下さい。この夏、全塾人の健闘を期待します。

 
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