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新時代のマーケティング論(38)
会議は踊る?実践的ミーティング法 2008年5月私塾界掲載分

森智勝氏

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ゴールデンウィークも終わり、塾の現場では落ち着きを取り戻していることでしょう。このわずかな凪(なぎ)のうちに自塾の改革を進めて下さい。

先月号で会議の見直しを提案しましたが、今月はその続編、具体的手法について解説します。

会議というと、スタッフ全員が参加する全体会議、教室単位の教室会議、あるいは教務担当者会議と様々ですが、会議の目的に合わせて参加人数を絞る必要があります。報告会ならば何人でもいいのですが、自由闊達に意見を述べ合い、新しいアイディアを生み出すためには参加人数は8人までに限定します。それ以上の人数になると活発に意見が出にくくなります。特に消極的な性格の人は聞き役に回ってしまいます。逆説的ですが、参加人数が多くなればなるほど発言者が少人数に限定されてしまいます。どんな大企業でもプロジェクトチームの発足メンバーは8人以内にすると言われています。

会議にも事前準備が必要です。テーマを前もって参加者に伝えておくことはもちろんですが、そのテーマの設定を工夫して下さい。間違っても「塾生増の方法について」などと大きなテーマを掲げないことです。人は与えられた課題が大きすぎると思考停止に陥ります。何も考えずに会議に臨むことになります。テーマはできる限り細分化して具体的に提示することです。具体的な問い掛けがあって初めて人は具体的な回答を考え始めます。参加者の誰もが具体的意見を持って会議に臨むことが大切です。

会議の冒頭で必要なことは2点です。1つは終了時間と終了時目標を明示することです。年に数回、エンドレスの徹底議論をすることは有効ですが、定例会議がいつ終了するか分からない、遠くの教室担当者から授業のため三々五々抜けていく…これでは全員の意思統一もできません。終了時間はホワイトボードの左上に書き出しておきましょう。

会議終了時の目標を事前に共通了解しておくことも重要です。例えば、「会議終了時には実行可能な解決策を3つ考え出し、担当者と実行スケジュールを決定する」などのように。こうした目標設定をすることで、最短距離で結論まで全体を導くことができます。

もう一つは、いきなり本題に入らず、身近な話題から始めることです。最近のニュースの話題でも、参加者がグッド&ニュースを発表するのも手です。こうした手法を「アイス・ブレイキング」と言いますが、アイドリングの効果があります。授業でも、いきなり「教科書を開いて…」と始めるよりも、生徒たちの興味深い話から始めると、聞く姿勢や精神的な準備が整い、学習効果が向上することが知られています。子供も大人も同じです。

次に大切なことは、進行役の立ち回り方です。

ほとんどの会議は全員が着席して行なっていると思いますが、進行役は立って議事を進めます。そして、出た意見を要約してホワイトボードに記入します。これは、場の空気を掻き混ぜる効果があります。空気が澱(よど)むと、場が膠着(こうちゃく)し、議論が深まりません。進行役が動くことで空気の流れを作り、参加者の思考を刺激します。それでも意見が出なくなったときは、二人一組で数分間、話し合いをさせます。ワン・ツー・ワンになると意見が出やすくなるものです。

進行役が常に心掛けなければならないことは、時間軸を把握し、守ることです。例えば、「現在」の問題点を議論する場合、「過去」に原因を探りに行くことは必要です。ところが、ややもすると、そこから「大過去」へと話が向かい、本来、最終的に到達すべき「未来」(対策)へ戻ることなく時間が過ぎてしまいます。話の流れに任せていると、往々にして起こりやすい状態です。進行役がコントロールして、行き過ぎた流れを戻す必要があります。

また、進行役がコントロールしなければいけないもう一つは、抽象的一般論に持っていかないということです。

先日、テレビで討論番組を見ていました。中国のチベット問題についての議論です。参加者の多くが中国政府を批判的に論じている中、ある参加者が次のように発言しました。「でも、アメリカがやってきた人権侵害の方が何倍もひどいではないですか!」これに対して、「いや、アメリカの場合は…」と反論が始まると、本来のテーマから外れていってしまいます。そうして自分の得意な分野に引っ張っていくのはディベートのテクニックの一つです。また、常套手段として、「そもそも人権とは何ですか。参加者それぞれの定義が違っていたら議論にならない!」と一般論に持っていこうとする人が出てくることもあります。「討論」自体が目的ならばそれでもいいのですが、ビジネスの会議は実行可能な解決策を生み出すことが目的です。進行役はそうした目的に適う進め方を意識しなければなりません。本筋から外れた場合は、割って入ってでも議論を戻す必要があります。

そうして考え出された解決策、改善策の担当者とタイムスケジュールを決めて会議は「時間通り」終了します。次回の会議冒頭では担当者からの進捗状況報告が必要なことは言うまでもありません。

会議と聞くと気が重くなる人が少なくありません。しかし、本来会議というものは参加者が活発に意見を出し合い、社内を活性化し、モチベーションをアップさせるためのものです。もし、現在の会議が塾長、あるいは教室長からの「報告会」で終わっているとしたら「もったいない」ことです。ある調査によると、1回の会議で全社平均4万円強の費用が掛かっているそうです。年間で213万円…。それだけの投資をして開くわけですから、実のある会議にしたいものです。

特にこの時期、意欲満々の若い新入社員が「がっかり」するような会議になりませんように。塾内の活性化は会議の活性化から始まります。

 
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