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新時代のマーケティング論(28)
塾改革は4%の社員を変えることから 2007年7月私塾界掲載分

森智勝氏

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先日、本誌主催「地方塾活性化セミナーin福島」を最後に、春のセミナー巡業が終了しました。今年は1月の鹿児島に始まって福岡、高松、広島、大阪、名古屋、東京、郡山、仙台、札幌の各地で多くの塾経営者の方とお会いすることが出来ました。また、私塾情報センターの皆様をはじめ、多くの方にお世話になりました。紙面をお借りして御礼申し上げます。

これから各塾は夏期講習に忙しくなる一方、私はしばらくの間、充電期間に入ります。9月以降、秋の縦断セミナー等で皆さんと再会できることを楽しみにしています。

さて、全国を回って気付いたことは、セミナーに参加される塾は元気だということです。元気だからセミナーに参加しているという考え方もありますが、やはり、勉強熱心だということは「成功の条件」なのでしょう。また、そうした方々は「セミナーに参加して役に立つ部分はごく一部である」ということをちゃんと理解しています。ややもすると「魔法の杖」を欲しくなるものですが、そんな特効薬はどこにも落ちていません。実際にセミナーに参加しても、その内容の90%以上は直接的には役に立たないものです。しかし、わずか数パーセントのヒントを求めて会場に足を運ぶ人と、大半が役に立たないからと言って全てを無視する人では大きな差が付いてしまいます。0はどれだけ大きな数を掛けても0でしかありません。数パーセントのヒントを大切に育てることで、大きな成果は生まれるものです。

よく例に挙げることですが、明治維新という時代を転換する事業に関わった日本人は、全体の2パーセント程度にすぎません。大半の日本人は大政奉還の日も昨日と同じように畑仕事をしていたのです。王政復古の大号令も知らずに日常の中で暮らしていました。しかし、日本は変わった。2%の人が変われば全体が変わる。それが「変化の法則」です。私は欲深いので、セミナーや社員研修でお話をするときは倍の4パーセントの人を変えようと考えて臨んでいます。そして、その人たちが周りの4パーセントの人を変えていく…そうやって社会は変化していくのだと考えています。よく、「俺1人がしゃかりきになっても世の中変わらないよ」と斜に構えている人がいますが、私はそうは思いません。

今、教育改革が話題になっていますが、塾業界の4パーセントの人が変われば業界全体が変わり、塾業界が変われば教育界が変わり、教育界が変われば日本社会全体が変わっていく…私はそう信じています。自然界では「エネルギー保存の法則」が生きていますが、人のエネルギーは増幅して伝播するものです。「あなた」がその最初の1人になってくれることを期待しています。

同様に塾(会社)を改革するときも社員の4パーセントを変えることに専念することです。全ての社員の意識改革を目指すと失敗します。幹部候補生の4パーセントを変えることに集中することで、会社全体が変わってきます。今回の縦断セミナーで基調講演を務められた早稲田アカデミーの須野田氏がご提案していた「研修」は、そのための一つの方法として非常に有効だと思います。

私は今春「資本の論理から感情の論理へ」をテーマにしてお話しました。言葉を変えて言うと「より良いものをより安く」から「どこにもないものをより高く」への変更です。目に見える商品を売らないサービス業の塾にとっては非常に難しい課題です。もの造り産業では「どこにもない商品の開発」を目指すことは容易です。(その成否は別にして。)ところが、「どこにもない教育」を作ることは難しく思えます。しかし、実は、もともと塾というのは「他とは違う商品」を提供しているのです。人が違えば、指導法も違ってくるのは自明の理です。問題は、目に見えないからこそ他との違いを示すことが難しいという点にあります。

そこで、他塾との違いを「形」で表す工夫が必要となってくるのです。それがマーケティングであり、コピーライティングです。

特に、これからの塾業界において「文章力」「言語表現力」は非常に重要になってきます。どんな「形」で表現するにしても、最後は「言葉」で伝えるしか方法がないからです。それはコミュニケーションにも関わる能力です。最近、小論文の通信添削が広がりを見せていますが、もしかすると社員教育の一環として採用すると思わぬ効果があるかもしれません。

いずれにせよ、業界の再編は待ったなしです。規模の大小に関わらず、それぞれが社員の意識改革を迫られています。社員全員を変えようとすると漠然としてしまいますが、4%の社員を変えるためなら具体的方法が見つかるはずです。ヒントは…1日の4パーセント、1時間弱の過ごし方を変えてみることです。

いよいよ夏期講習が始まります。受講生が「受講してよかった!」と感動する「夏」を提供してあげてください。あなたにとっては「例年の夏」でも、塾生の「中3の夏」は一生に一度しかないのですから。

暑い夏をより熱く!…健闘を期待しています。

 
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