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中小塾のためのマーケティング講座(21)
「塾のファン作りは3週間が勝負」

森智勝氏

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各塾も新規の塾生を迎えて、これまでとは違った活気が生まれていることでしょう。
思い通りの集客ができた塾、そうはならなかった塾と様々でしょうが、共通して重要な次の一手があります。以前にも紹介したことがあるかもしれませんが、全てのビジネスは次の流れで成立っています。
(1)見込み客を作る→(2)見込み客を顧客にする→(3)顧客をファンに変える→(4)紹介を得る
これは塾に限らず、ラーメン屋でもデパート・スーパーでも旅行代理店でも同じです。今回は(2)から(3)へ移行させる方法について説明します。

人の興奮は3週間で冷める

さて、その生徒はなぜあなたの塾に入ったのでしょう。あるいは、その母親はなぜあなたの塾を選択したのでしょう。それは、あなたの塾が気に入ったからですね。地域にある多くの塾の中から選んだのですから当然です。ところが「客」は商品を購入した瞬間から疑問を持ち始めます。「本当にこの商品で良かったのかしら?」塾でしたら「本当にこの塾で良かったのかしら?」という疑問です。これをマーケティング用語で「バイヤーズリモース」(購入後の後悔)と言います。そして、購入時(入塾時)最も高かった顧客ロイヤリティーは下がり続け、3週間後には日常に戻ってしまいます。

例えば海外旅行から帰ったばかりのOLを想像してください。帰国直後は旅行の話をしたくてしたくてたまりません。そこでお土産を渡すという口実で友人に会い、旅行の思い出を語って歩くという行動に出ます。(ですから以前説明したように、「紹介」をお願いする最初のタイミングはココです。)しかし、その興奮も3週間で冷めます。日韓共催のワールドカップ、アテネオリンピックの興奮も同じです。どうやら、人間のテンションは3週間で日常に戻るという法則があるようです。もし、そのテンションをある程度高く保ったまま3週間後を迎えることが出来れば、その高いテンションが日常となる。そんな考えから神田昌典氏が提唱しているのが「21日間感動プログラム」です。氏は21日間に最低3回顧客と接触することで高いロイヤリティーを保てると主張します。これを塾バージョンに応用します。

3週間で最低3回の接触を図る

入塾が決まった生徒に、まず何をするか。絶対のお勧めが以前も紹介したことがある「直筆の手紙」です。入塾決定直後に送ります。デジタル全盛の現在、直筆の手紙をもらうこと自体が非日常です。今年の正月、あなたの元に届いた年賀状のうち何枚、直筆の賀状がありましたか?また、その賀状を見てどう感じましたか?「思い」はアナログのほうが早く正確に伝わることを実感されたのではないでしょうか。人はデジタルに感心こそすれ感動はしません。そして、人を行動に駆り立てるのは間違いなく「感動」です。直筆の手紙は最も費用対効果の高い方法です。

こうした話をすると「私は字が下手で…」と尻込みをする先生がいますが、それでいいのです。あなたは学習指導のプロであり、けっしてペン習字のプロではありません。私は何人かの医者の診断書を見たことがありますが、お世辞にも達筆と呼べるものはありませんでした。しかし、そのことで医者としての力量を疑うことはありません。悪筆の場合、相手に劣等感を与えないため、かえって良いのです。下手でもいい一所懸命書くことです。それで、あなたの「思い」は届きます。まだ実行されてない方は、是非トライしてみてください。

次に1~2週間後に家庭へ電話訪問をします。塾での学習の様子を伝え、家庭での変化を聞き、慣れない塾通いの中で悩みや困り事はないかを尋ねます。また、入塾前の説明と違っている点はないかなど早期にクレームを吸い上げることも重要です。私が塾長時代に行なっていた方法があります。入塾生には必ず週間学習計画表を作らせ、その勉強をしているはずの時間を狙って電話を掛けます。開口一番、こう切り出します。「今、○○君は英語の勉強をしていますか?」たいていの母親は戸惑い、「はっ、い、今、テレビを見ていますが…」などと答えます。「おかしいなあ、私との約束で、この時間は英語の勉強をしているはずですが。計画表が冷蔵庫に貼ってありませんか。」「あっ、あります。申し訳ありません…。」

計画表を作らせる塾は多いと思いますが、ほとんどの場合、後は本人任せです。当然、守れる子供は少数です。本人も親も、まさかチェックが入るとは思っていません。しかし、家庭学習が学力向上の鍵であることは事実です。この電話訪問によって「この塾はやらせっぱなしではない」と思ってもらえれば成功です。

最後に3週間後を目処に「入塾記念品」を渡します。けっして高くなく(100円程度)、自分では買わないだろうと思えるものがお勧めです。塾はグッズを考える場合、そのイメージから「名入れのシャーペン」やファイルを考えがちですが、ほとんどの子供は喜びません。そうした必需品は余るほど持っているからです。以前、名入れのシャーペンを配ったことがあるのですが、あまり喜ばないどころかカッターを持ち出して塾名を削り始めた子さえいました。どうせ塾本来のサービスとは外れた「お遊び」の部分ですから、想像力をたくましくして「もらった子供がニャッと笑う」ものを考えてください。「うちの塾、こんなくだらない物をくれた。」と言ってもらえれば成功です。

以上の例は、あくまでも「例」であり、あなたの塾のキャラに合わせた方法を考えてください。必要なことは早いうちに3回の接触を図ることです。そのことによって入塾時の高い顧客ロイヤリティーを3週間後まで維持することです。そのことが単なる顧客であった生徒、保護者を塾のファンにしていく第一歩です。

ギャップを演出して魅力を生み出す

それ以降の継続的方法としてお勧めなのが「ニュースレター」です。ここで大切なことは「ニュースレター」と「セールスレター」を混同しないことです。多くの塾が会報を出していますが、最初の話題が「さあ、学年末テストが近づいてきました。対策補習は…」とか「夏期講習の実施要綱は…」となっています。これでは面白くないので読んでもらえません。ニュースレターの役割は塾と家庭が親しくなることです。あなたの、講師の人柄を知ってもらい、塾を常に身近に感じてもらうことです。趣味のこと、最近見た映画のこと、近所の行きつけの店のこと…何でもいいのです。あなたの人柄が伝わる…そうした内容のほうが確実に読まれ、ファンを作り出していく原動力になります。テスト対策授業や夏期講習の案内はセールスレターとして別に作らなければなりません。私はニュースレターで自分の娘と母親のドタバタ劇を題材に「カン子の受験奮闘記」というコラムを連載していました。すると、卒塾していく子供達数名が「カン子ちゃんがどうなるか知りたいから卒塾してもニュースレターをちょうだい」と言ってくれました。

人は何に対して魅力を感じるか。キーワードはギャップです。真面目一方と思われていた人が実はラーメンの食べ歩きが趣味であったり、学者然とした人が少女マンガに造詣が深かったり…そうした意外性に人としての奥深さを感じるものです。少女たちが不良少年のあどけない笑顔に憧れる…あの心理です。(発想が貧弱ですみません。)

塾としての本筋である学習指導が厳しければ厳しいほど、周辺環境にはギャップを生み出す演出をすること。そのことが塾のファン作りに効果的です。あなたはどうやってギャップを作り、ファンを作りますか。あらためて言います。人は指導技術に関心こそすれ感動はしないものです。

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