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中小塾のためのマーケティング講座(20)
「総復習(2)ステップアップ思考法の勧め」

森智勝氏

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セグメントは謙虚さの表れ

前回に続いて総復習特集です。今回はセグメント、絞込みの重要性から説明します。
セグメントの必要性については多くのマニュアル本で主張されていますが、肝心なことは「私の塾はこんな子供に最適です」という明確な主張があるかどうかです。「どんな子供にも最適です」と言っている塾は、外から見ると「どんな塾か」が分かりません。人は分からないところへは近づかないという習性を持っています。よく使う言葉ですが「誰にも嫌われたくないと思っていると、誰からも好かれない」…これは真実です。自塾の「得意分野」を主張することは、消費者に対して「選択基準」を明確にすることです。「この分野は専門ではありません。しかし、この点には自信があります。どうぞ私に任せてください。」という主張が相手の信頼を勝ち得るのです。
チラシの表現で「一緒に頑張ってみませんか?」とか「ぜひ一度体験してみませんか?」という奥床しい?お誘いの表現を見かけることがありますが、逆効果です。この表現からは「自信のなさ」を感じてしまうのです。
「客は塾が選ぶ」
聞くと高飛車な印象を受ける言葉です。以前、セミナーでこの話をしたときに「ウチは子供を選ばない。どんな子供でも来てくれたら理想の生徒に変えるよう努力するのが塾の仕事だ。」と反論されたことがあります。その考え方自体は素晴らしいのですが、視点を変えてみれば「全ての子供はオレの力で変えられる。ウチの塾はどんな子供にも最高の塾だ」という傲慢さと紙一重です。「客を選ぶ」ということは、実は「客には自信のある商品だけを売る」という謙虚さと同意語です。京都の「一見さんお断り」も、現在では店の傲慢さの代名詞のように言われますが、本来は謙虚さの表れだったのです。内陸という土地柄、いつでも新鮮な素材を用意できるわけではないという事情から「期待して来られた初めてのお客さんを裏切ることはできない」という発想が生まれ、「一見さんお断り」が始まったのです。
2割の人にセグメントする。そうした発想を持ってください。2割の保護者に(生徒に)「ここは我が子の(自分の)ための塾だ」と思ってもらうことです。すると「私の塾が2割の人にとって最も相応しい塾になるためには何が必要か」と自動的に考えるようになります。自塾の暗黙知を作り、育てることの必要性に気付きます。

仕組み作りもステップアップ法で

さて、次に大切なことは「仕組み作り」です。全ての進歩は次の流れで決まります。
1 願望・目標を立てる(ビジネス・モデル)
     ↓
2 戦略を練る
     ↓
3 戦術を考える
     ↓
4 実行する
     ↓
5 結果が出る
     ↓
6 検証する
     ↓
7 データベース化する

チラシの目標(目的)は問い合わせの電話をもらうことでした。その場合、必ず必要なことは数値目標にすることです。「一本でも多くの電話をもらおう」ではダメです。「4月30日までに100本の電話を掛けてもらおう」と具体的に設定するのです。そうして初めて、100本の問い合わせをしてもらうためには「どんなチラシ」を「どの範囲」に「何回」折り込めばいいかという戦略を練ることが出来るのです。
次は「戦術」です。キャッチコピーをどうするかとか、色は、構成は…等はここに入ることになります。そして実際に折り込んで結果が出れば、検証を加えてデータベース化していく。これを繰り返すことで塾全体の進歩があるのです。
当然、100本の問い合わせ電話にも「目標」が必要です。次は「掛かってきた問い合わせ電話の70パーセントを来塾に結びつけよう」という目標が設定されます。そして、そのための「電話対応」の戦略・戦術・実行・結果・検証が必要になります。来塾面談についても目標・戦略…が欠かせないことは言うまでもありません。
要は、出来る限り「細分化」することです。大きなテーマで、例えば「塾生を増やすためには」と考えても答えは出てきません。「世界平和のためには」と考えるのと一緒です。ましてや、社員スタッフに「塾生を増やすアイディアを考えろ」と命じてもアイディアが出てくるはずもありません。
先月号で紹介した「ステップアップ法」は仕組み作りにも当てはまります。問題点を出来る限り細分化して答えを見つけていく。その積み重ねが全体の「仕組み作り」に他ならないのです。大きな目標を立てることは大切なことです。しかし、ほこりをかぶった「経営計画書」になっては困ります。細分化するということは、一つ一つ「実行」のハードルを低くすることです。「行動によって意欲が湧く」原則はあなたにも当てはまります。
最初の一歩です。必要なことは。どこまで細分化すれば、あなたが容易に最初の一歩を踏み出せるか。そうした観点から仕組み作りを考えてください。ちなみに私の最初の一歩はコンビニで「ありがとう」を言うことでした。
仕事柄、私は移動が多く(空を飛べないという事情もあり)新幹線を使います。体が資本のため、また車中で仕事をするためにグリーン車を利用します。すると客室乗務員の女性が「お絞り」を持ってきてくれるのですが、「ありがとう」と言って受け取る人を見掛けたことがありません。そうした経験を重ねていくと、自分に対する妙な自信が湧いてきます。「こいつら『ありがとう』も言えんのか。俺は言えてる。俺って結構いい奴じゃん。」(あくまで心の中の声です。言葉遣いがヒドイですがお許しを。)そんな自分に対する自信が湧いてくるのです。今年のセミナーで「コンビニでありがとうを言おう」とお勧めしているのですが、セミナー後、最も反響が大きいのがコレです。
コミュニケーション戦略を構築するための「最初の一歩」がココにあります。これならば誰でも実行可能です、その気になれば。絶対のお勧めです。人生が変わりますよ。

思考法を変えて飛躍の年に

駆け足で説明してきましたが、来年度の戦略を練る前に考えてください。あなたの塾は『仕組み』で動いていますか?その場の「思いつき」(コレはコレで非常に重要なのですが…)だけで動いていませんか? 
これまでの2回分の基本原則をまとめます。
(1)人は行動することで意欲を高める
(2)人は「形」に化学反応を起こす
(3)セグメント(絞込み)を徹底する
(4)言霊コピーライティング(顧客本位)で書く。
(5)問題を細分化して考える(step up思考法)
(6)客と友人になる(殿様バッタ)
(7)仕組み作りを意識する
(8)ダイレクト・レスポンス・マーケティング
思考法を変えれば見えなかったものが見えてきます。人は人を変えることは出来ませんが、変わることは一瞬です。そして「あなたが変わった」ことが生徒や保護者を通じて地域に伝播するのに約3ヶ月。3ヶ月で塾は変わります。どうぞ、最初の一歩を踏み出してください。

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