HOME > 塾経営最強コラム > あなたは未来逃避をしていませんか?

中小塾のためのマーケティング講座(17)
「あなたは未来逃避をしていませんか?」

森智勝氏

写真

各塾では、そろそろ来年度の構想を練り始める時期ですね。来年こそは大胆に塾を変革しようと思いながら、結局、例年と変わり映えのしないカリキュラムと集客方法に落ち着いてしまう中小塾がほとんどです。あるいは、開業当初の理想と目の前の現実のギャップに悩んでいる塾長さんも多いことでしょう。原因はいったいどこにあるのでしょうか。今回はマーケティングを離れて、ビジネスマインドについてお話したいと思います。

未来逃避は理想の塾をあきらめること

今ところで、人はいつから夢を失ってしまうのでしょうか。いや、本当に「夢を失って」いるのでしょうか。私には疑問です。なぜなら、幼稚園児に尋ねると誰もが夢を語ります。「看護婦になりたい」「サッカー選手になりたい」「ケーキ屋さんになりたい」…それが中学生くらいになると口にしなくなります。それは「失った」のではないと思います。忘れているのです。これも正確ではありません。忘れようと努力しているのです。無理やり蓋をしているのです。忘れることで夢に到達するまでの「辛い今」から逃れるために。現実逃避という言葉がありますが、これは実際には「未来逃避」と呼ぶべきものです。
ことは子供だけではありません。我々大人も未来逃避をしています。

あなたは「なぜ塾経営の道を選んだ」のでしょう。「私教育の理想に燃えて」「子供が好きだから」「教えるのが得意だから」「簡単に儲かると思ったから」「何となく誘われて」…様々な理由があると思います。しかし、あなたは医者でもなく、大工でもなく、花屋でもなく…塾を選びました。その時、必ず思ったはずです。「自分の理想の塾を作ろう、理想の生活を送ろう」と。ところが、年月が経つうちに忘れてしまいます。いえ、子供達と同じように忘れようと努力しています。なぜか…。
その方が楽だからです。
例えば、自分の理想の塾を作るためには授業料を倍にする必要があるとします。しかし、今の塾生(保護者)に「授業料を倍にする」と言うのはとても辛いことです。当然、苦情・文句を言われるでしょう。退塾する人も続出するでしょう。誰もが言いたくない。言ったときの痛みに耐えられない。言わない方が、現状維持の方が楽です。で、結局言わない。そして、理想の塾(夢)をあきらめる…これが未来逃避です。そして、夢が実現できない理由を外部に求め始めます。政治が悪い、景気が悪い、社会が悪い…。

選挙が始まるとテレビのインタビューで毎回、同じセリフに出会います。曰く「誰が総理大臣(政治家)になっても自分の給料が上がるわけではないから…」そんなことは当たり前ではないですか。「お前は総理大臣から小遣いを貰っているのか」と突っ込みを入れたくなります。総理大臣から小遣いを貰っているのでしたら、総理大臣が変われば小遣い(給料)が上がるかもしれません。こうした考え方を「他者依存症」と言います。今の日本には、この依存症が蔓延しています。(だから一部の自己依存者がダントツの儲けを出している)
あなたは大丈夫ですか?実は、未来逃避している人は間違いなく他者依存症に罹(かか)っているのです。

そこから一歩抜け出すことです。辛いと思っていた世界も、入ってみると案外そうでもありません。毎日何キロもジョギングしている人を指して「あんな辛い、苦しいことをよくできるな~」と言う人がいますが、ジョギングしている人は、たいして辛い苦しいとは思っていません。それどころか、「楽しい」とさえ言います。走った人にだけが味わえる快感があるのです。
ビジネスも(もちろん塾経営も)同じです。あなたが一歩踏み出すことで経験できる「世界」があるのです。

危機管理の欠如は未来逃避から始まる

ビこの未来逃避をしている人の特長は、危機管理ができないことです。
台風・火山噴火・地震…。この夏、全国各地で災害が発生しています。観測史上最多の台風上陸と浅間山の噴火。これを大地震の発生予兆とする学者もいるようです。(皆さんのところは被害に遭われていませんか。心配しています。)

こうした災害が起こるたびに言われるのが危機管理。日本人は本当に危機管理が苦手です。なぜか…。そう、これまでにも話題にしてきましたが、理由は「言霊」です。
日本人は「言葉にしたことは現実のものとなる」という信仰を持っています。本来、危機管理というのは最悪の状態を想定して構築するものですが、「最悪を想定すると、その最悪が現実のものとなってしまう」ので、最悪の想定ができない。そして、常に甘い想定になってしまう。本当の危機管理ができないという悪循環に陥ってしまいます。

自衛隊の話になると、必ず出てくる論が「今の世の中、どの国が日本を攻めてくるのだ。」というもの。答える側も「どこというわけではなく、あらゆる可能性を考えて…」などと禅問答に終始して、どちらも具体的な国名を挙げることはしません。お互い、頭の中では特定の国を想定しているのにも関わらずです。また、防衛研究をしようものなら、必ずマスコミに非難されます。有名な話ですが、沖縄の米軍縮小を日本が主張できないのは、適正規模を提示するだけの研究データを日本が持っていないからです。ですから、アメリカに「10万人規模はどうしても必要だ」と言われたら何の反論もできないというのが実情です。すべて「言霊」の成せる技なのです。

これは企業における危機管理にも言えます。本来、企業防衛は最悪を想定して考えなければならないのですが、それができない。結局、まあ何とかなるだろう…で過ぎていく。そして、最悪を迎える。雪印も長銀もUFJも。
あなたの塾は大丈夫ですか?
最悪を想定して危機管理をしていますか?
つまり、将来起こるかもしれない「最悪の事態」から逃避していることが危機管理の甘さの原因です。結局、未来逃避なのです。

私もかつては出来ませんでした。マイバブルに浮かれていたとき、ある日突然、最悪はやってきました。いや、冷静に振り返ると兆候は山ほどあったのです。でも、見ないようにしていた。そして、突然の嵐を招いてしまったのです。
塾生の激減、有力社員の退社・アメリカ留学、挙句の果ては社員の人身死亡事故。残ったのは膨大な借入金。目の前が真っ暗になりました。
来るのですよ。マイナスのエネルギーがマイナスのエネルギーを増幅して引きつれて津波のように一気に押し寄せてくる。そうなると、どうすることも出来ません。どうして自分だけがこんなひどい目に遭うのだろう。ただ、嘆いているばかりでした。

ビジネスの世界に身を置くということは、毎日が冒険の中にあるということです。様々な困難が押し寄せてきます。しかし、冒険者達はその困難を乗り越えていきます。一つは危機管理がしっかりしているため、もう一つは困難の向こう側に目的地が待っていることを信じているからです。
あなたが危機管理もせず、目的地(理想の塾・理想の生活)を忘れているのでしたら、この冒険(ビジネス)を生き抜くことは出来ません。
来年度の構想を考えるにあたって、是非、原点に立ち返ってください。
あなたは、なぜ塾経営の道を選んだのですか!

→次の記事を読む

 
© 2015 全国学習塾援護会