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中小塾のためのマーケティング講座(13)
「言霊コピーライティングの威力」

森智勝氏

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夏期講習案内文の比較

夏期講習生の募集は始まりましたか。早いところは6月の初旬から募集を開始しますが、これからという塾もあることでしょう。講習生募集と言うと、どうしても対象が外部生になり、既塾生に対するアプローチを手抜きしがちになってしまいます。講習が任意の塾は、まず既塾生を講習へと誘うことを考えるべきです。ところが、塾生に対する「講習案内」に力点を置いている塾は少ない。ほとんどの塾が次のようなパターンの案内を配ってしまいます。

【A】夏期講習のご案内
各中学校で期末テストも近づき、本格的な夏まであとわずかになりました。 受験生にとってこの夏をどう過ごすかは、来春の進路に大きく影響してきます。 40日という期間は、無駄に過ごせばあっという間ですが、目的意識を持って過ごせば、成果を得るのに十分な時間でもあります。 この時期を逃しては実力アップなど図れないことを自覚してください。
春期講習から始まった当塾の受験指導において、今回の夏期講習では 弱点補強の最後のチャンスと位置づけ、個々の課題に的を絞った学習を行います。 ひとりひとりに具体的なテーマを設け、徹底的に弱点の克服を図ります。

それに対して次の案内文を読んでください。

【B】「夏期講習」ここまでやります!
どうして特訓コースなるものが恒例になってしまったのだろう。
それは君たちの先輩が望んだからだ。
「もっと勉強がしたい」
その思いに応えて開講した昨年の「特訓コース」は15名が参加。毎日、朝の9時から5時まで教室で学習した。冬期は塾生の希望で、とうとう1日12時間の「超特訓コース」にまで発展してしまった。しかし、彼らは見事にやり遂げた。
参加者の2つ下の妹が言った。
「お兄ちゃんがこんなに勉強するようになるとは思わなかった」
本人も言っている。

「自分がこんなに勉強するようになるとは思わなかった」
母親も言った。
「息子は変わった」
そう、人は変われるのだ。
何か問題が起こると「知育偏重」だの「学力優先」だのと勉強に対する批判が強くなるが、それは間違っている。スポーツにせよ、芸術にせよ、たとえそれが勉強でも、一つのことに真剣に取り組む人が、成長こそすれ曲がってしまうなどということは有り得ない。事実、君たちの先輩は真っ直ぐに成長している。彼らは少しのことでは負けない逞しい精神力を身に付けた。そして、もちろん、精一杯の学力を身に付けたことは言うまでもない。
人は変われる。40日間という時間は無駄に過ごせばあっという間だが、何かを成すには十分な時間だ。
高校受験は君が変わるために与えられたチャンスだ。残された半年を駆け抜けるための「力」を集中特訓講座で手にしてみないか。
受講終了後、君たちが得るのは「学習意欲」という名の最強アイテムだ。それさえ獲得できれば恐いものは何もない。
君たちは受験のために勉強するのではない。勉強するために「受験」はあるのだ。

実は、AとBは私が経営していた、ほぼ同規模の教室に数年前に配った「夏期講習の案内」です。講習内容、価格、日程等は全く同じ「商品」です。ところが、配布1週間後の申し込み状況はA教室が13名、B教室が25名と、明らかに反応が違うことが分かっています。(ともに中3生は30名程度)
Aの無味乾燥な案内を読んだ母親はどうするでしょう。多分、ざっと見た後「ああ夏期講習、またお金がかかるわね。」とため息を一つついて、プリントを冷蔵庫にマグネットで貼り付けて忘れてしまう…。なぜか。人の感情には「作用・反作用」の法則が働くからです。

言霊コピーライティングの勧め

日本は「言霊の国」と言われます。文字通り言葉に霊(魂)が宿ると考えていたのです。簡単に言えば「言葉にしたことは現実のものになる」と信じる思想です。ですから、かつての政治家たち(公家)は歌ばかりを詠んでいました。上司を名前ではなく「役職名」で呼ぶのも、昔の女流作家の本名が残らず、清少納言や紫式部のように「あだな」でしか伝えられないのも「言霊」の影響です。現代でも言霊思想は根付いています。誰もが受験生の前では「落ちる」「すべる」という言葉を避けますし、結婚式では「切れる」「別れる」は禁句です。考えてみれば、日本人に限らず、人は言葉によって感情を動かされる唯一の動物なのです。

Bのように熱い言葉で語れば、熱い反応が返ってくるのは当然の帰結です。そして、人の感情を揺さぶる文章を書くことを「言霊コピーライティング」と言います。コピーライティングと聞くと「言葉の使い方ひとつで相手を操作する」ことだと思っている方がいますが、とんでもない勘違いです。コピーライティングとはあなたの思いを早く正確に伝える技術のことです。あなたが多くの人に講習を受けてもらいたい、この講習は受けるに値する価値があると思っているのなら、そのことを生徒・保護者に伝えなければならないのです。

もちろん、人にはそれぞれのキャラクターがありますから、あなた自身の言葉で伝える必要があります。よく、成功したチラシのキャッチコピーやリード文を拝借する人がいますが、たいていの場合失敗します。なぜなら言葉に魂がこもっていないので、その「胡散臭さ」が何となく感じられてしまうからです。「学ぶ」は「まねる」から派生した言葉だと言われていますので、真似ること自体は悪いことではありません。しかし、そこから成功のエキスを取り出して自分なりの工夫を加えなければ上手くいくはずがありません。ここで大切なことは「文章の上手・下手」ではなく、あなたの思いを伝えているかどうかということです。

冬期講習案内文の例

今後、講習案内文に関して取り上げることもないでしょうから、参考までに冬期講習案内文の成功例もご紹介します。繰り返しますが、重要なことは「思いを伝える」ことです。中小の塾が地域に溶け込めるかどうかは、すべてそこにかかっていると思ってください。

冬期講習案内文(冒頭)
もう、形だけの学習はやめましょう。やるからには徹底してやりたい。入試本番はすぐそこに迫っています。これからの数ヶ月で君たちの人生が決まるのです。ぜひ、君たち自身の手で人生を決めてほしい。
  もちろん合否が気になるのは分かります。しかし、たかが合否で人生は決まりません。どれだけの努力を傾けることができたか、それで人生が決まるのです。今、目前の困難から逃げていては一生逃げ続ける人生になってしまいます。
私は君たちに立ち向かってほしい。壁があるなら避けて通る人よりも、砕ける覚悟でぶつかっていく人になってほしい。だから……。
この冬の講習は徹底してやります。1週間で君たちの人生が変わるくらいの学習をしてもらいます。はっきり言って覚悟のない人は受けないほうがよいでしょう。
コースは2つだけ。特訓コースと超特訓コースです。特訓コースは朝の9時から夕方の5時まで。超特訓コースは朝の9時から夜の9時30分まで学習します。食事も塾で用意します。(特訓コース昼食・超特訓コース昼夕食) 家ではお風呂に入って寝るだけです。その間、テレビも見ない、漫画も読まない、携帯電話で友達と話もしない生活をしてもらいます。学習だけに没頭するのです。長い人生、そんな時期があっても決して無駄にはなりません。
受講費は正直悩みました。塾外生には特訓コース56,000円、超特訓コース78,000円でご案内しています。(食事代別、チラシ参照) 実際、それだけの価値がある講座だと自負しています。しかし、当教室は開講して3年にもならないのに30名以上の中3生に通っていただき、多くの塾生を紹介もしていただきました。お蔭様で、次々新しい塾が近所に開講する中で誰一人他塾へ移ることもなく、当塾の指導を支持して下さっています。昨今の不況の下、多額の教育費がご負担であることも承知しています。ご両親の負担を思いやってか、塾生からも「安くしてね」と頼まれています。
そこで、これまでの感謝を込めて思いっきり還元させていただきます。
特訓コースは56,000円を48,000円に、超特訓コースは78,000円を68,000円にします。さらに、食事代は私のポケットマネーで負担します。もちろん子供たちの栄養を考えて、しっかりとした仕出し弁当を注文します。(後略)

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