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中小塾のためのマーケティング講座(10)
「紹介は仕組み作りで獲得する!(1)」

森智勝氏

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紹介のチャンスは入塾後3週間

塾は入塾者(顧客)の8割近くを口コミ・紹介によって獲得する特異な業種だ。ところが、その重要な紹介制度を戦略的に構築している塾はほとんどない。どの塾も「よい授業をしていれば口コミによって塾生は集まってくる」という発想から、エネルギーを授業内容の充実に使い、塾生を集めるという最も根本的な経営スキルに注意を払っていないのが現状だ。
塾の広告宣伝活動といえば「チラシ」が主流。しかし、ここ数年チラシによる反応率が極端に悪くなっている。また、入塾者の多くが口コミ・紹介であることを考えると、紹介制度を確立しているのとそうでないのとでは大きな差になって表れる。
紹介が最も得られやすいタイミングはいつか。普通に考えれば長く塾に在籍した生徒が、その良さを知った上で紹介をしてくれるというのが常識のようだが、実は、入塾したばかりの生徒が友達を連れてくるというパターンが最も多い。あなたの塾でも、(言葉は悪いが)芋づる式に入塾者が来るという経験を何度もしているはずだ。
その理由は、塾に限らず「客は購入時が最も商品に対するテンションが高い」ことにある。生徒・保護者はあなたの塾を信頼したから入塾を決めたのであり、その時点が顧客ロイヤリティーの最も高い時期なのだ。また、初めての塾に一人で通うのは心細いという心理も当然働いている。
子供にとって塾に入るということ、あるいは塾を変わるということは生活が一変することだ。ところが3週間経つと、それは日常になってしまう。言うなれば顧客ロイヤリティーは購入直後から低下を始め、3週間で通常に戻ってしまう。(だから、この3週間の対応が定着率を高める最大のポイントになる。)
紹介をしてもらう最初のチャンスは入塾後3週間までにある。
紹介を期待しながら「紹介状」すら作っていない塾が多いということは以前述べた。人は物を介して行動に移す性質を持っている。紹介という行動を積極的に促すためにも『紹介状』の存在は不可欠だ。
書類一式の中に「紹介状」をセットしておくことだ。これがあるのとないのとでは紹介率が大きく違ってくる。
特に紹介によって入塾した生徒は次の生徒を抵抗なく紹介してくれる傾向がある。紹介状を用意することで「紹介することが当たり前だ」という気持ちを促すことが紹介の輪を広げることにつながる。理想を言えば「紹介状がないと入れない塾」というイメージを作りたい。

紹介のリスクを減らせ

紹介する立場に立ってみると、「素晴らしい塾だ」と思ったとしても安易に他人には勧めにくいもの。紹介した責任がついてくるからだ。そこで、入塾までの手順をリスクのないように設定することが必要になる。リスクが少なければ安心して紹介ができる。
リスクを減らすことはダイレクト・レスポンス・マーケティング理論の主要課題だ。
そのためには、次のような方法がある。
1 体験学習期間の設定
2 通塾保証制度
この二つの制度は、入塾のリスクを限りなく0に近づける。それは、紹介のリスクを限りなく0に近づけることでもある。子供の勉強に悩んでいる母親に、「あの塾に入ったら?」と勧めるのと「あの塾の体験学習1ヶ月受けてみたら?」と勧めるのでは抵抗感が違う。また、保護者は、この2つの制度から「塾の指導力に対する自信」を感じ取る。こうした大きな保証をつけることは塾生獲得のための強力な方法である。他業種でも業績を伸ばしている電化製品販売業、中古車販売業、住宅等、必ずといっていいほど「大きな保証」がついている。だからといって返金要求が殺到したり、体験学習のみの受講で終わる生徒が続出することはない。なぜなら体験学習という行動が入塾という次の行動への意欲を加速させるからである。もし4パーセント以上のロスが発生する場合は、商品(授業)そのものに欠陥があると考えた方がよい。
紹介をお願いするにはタイミングが大切だ。前述のように、その最大のチャンスは最初の3週間にある。そのため、入塾面談の時に必ず前振りをする。
「お役に立つ塾だとお思いでしたら、お友達に当塾の体験学習をご紹介ください。」
こうした一言が重要。行動を促す一言の積み重ねによって、「紹介をしよう」という意識を持ってもらうことにつながる。すると目の前に塾を探している友達が現れる。人はアンテナが立つことで見えてくるものがある。車をエスティマに変えようと思った瞬間から街を走るエスティマが目に付くようになる。
消費者(人間)は本来、指示待ち族と思ったほうがいい。こちらが何も訴えなくても善意で行動してくれると考えるのは間違っている。生徒も本人も、よっぽどの人間関係を築いていない限り、あなたの塾の経営には全く興味がないのである。

口コミは紹介の前提条件

紹介を促すためには、塾が常に話題になっていることが必要だ。よく話題になっている塾だからこそ、紹介された人も「一度のぞいてみようかな」と思う。いくら人の勧めでも、それまで聞いたこともない塾に問合せるのは躊躇する。
そこで、いかに話題を提供して口コミを広げるかということが重要になる。以前説明したが、重要なことなのでここではそのポイントをおさらいしよう。
(1)口コミは戦略的に広げるもので、自然発生的に広がるものではない。
(2)口コミの発信元は塾長である。塾生や保護者は、誰も塾のよさを自発的には話し始めない。
(3)口コミは物を介して広がる。口コミツールを作ることで意識的に口コミを広げることができる。
(4)塾長や講師の人柄、パーソナルな情報を口コミに乗せる。
(5)他塾では真似のできないオファーは口コミされる。
(6)口コミをしてくれる人は全体の2割である。早くその人たちを見つけ、塾の応援団を組織する。
口コミは自然発生的に起こるものではなく、塾が明確な意図の下に戦略的に起こすものだ。
こうした「口コミ戦略」と「紹介戦略」を分けて考え、並行して実践すると、互いに有機的に反応し合い、最大限の効果を発揮する。

感謝の法則

もう1つ、紹介入塾を増やす条件に「感謝の法則」がある。
紹介をする人のメリットは何だろうか。中には、「よい塾を紹介するとライバルが増えると考える親が多いので、紹介が得られない。」と言う塾長がいる。確かにそう考える保護者もいるが、ごくわずかである。ほとんどの保護者は喜んで紹介してくれる。なぜか。感謝されるからである。
誰しも人に感謝されるのは気持ちの良いものだ。入塾者があると、「紹介状」のあるなしに関わらず、その友人の家庭に電話をかける。
「この度、○○君のクラスメートの△△君が入塾してくれる事になりました。これも○○君が頑張って勉強してくれているおかげです。ありがとうございます。」
母親は、△△君を知らないかもしれない。それでよいのだ。感謝の気持ちを伝え、大袈裟に喜びを表すと、必ず、まずは恐縮し、それから真剣に紹介を考えるようになってくれる。次はその家庭が紹介者となる塾生が生まれる。

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