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中小塾のためのマーケティング講座(7)
「口コミは自然発生しない!」

森智勝氏

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口コミと紹介

ほとんどの塾が、「口コミ」と「紹介」を同じものだと考えている。これは別のものである。これを、一緒に考えているから話がおかしくなる。分けて考えなければならない。口コミとは「塾のことを話題にしてもらうこと」であり、紹介とは文字通り「客を連れてきてもらうこと」である。

塾というのは、8割が紹介あるいは口コミと言われている業界だ。あなたも紹介で塾生が集まってくるのが理想的だと思っていることだろう。では、あなたの塾には「紹介状」があるだろうか?

紹介が欲しいと思っているのならば、「うちの塾は紹介が欲しいんですよ。」ということをちゃんと塾生、保護者に伝えなければならない。思いは伝えなければ伝わらない。「私がこんなに紹介が欲しいと思っているのだから、いちいち言わなくても以心伝心か阿吽の呼吸で相手には伝わっているだろう。」と考えても伝わらない。戦略的に仕組みづくりをしなければ口コミも紹介も得られない。紹介状は、その思いを伝える大切なツールだ。(紹介については次号で詳しく説明する)

口コミの真実

口コミは起こりやすい業界と起こりにくい業界がある。口コミが起こりやすい業界は気軽に友達を誘って一緒に行けるところだ。例えばテーマパーク、レストラン、映画などだ。これは気軽に、「ねえねえ、あそこのレストランおいしかったから一緒に行こう」と言える。ところが同じ女性が行くところでも例えば美容整形、これはなかなか口コミが広がりにくい。「ねえ、この顎をちょっと見て、これ削ったの」と言う人はいない。ましてや「ねえ、だから一緒に削りに行かない」とは誘わない。これは口コミが起こりにくい。

では塾は?実は塾というのは、確実に口コミが起こりにくい業界だ。子供たちは少なくとも、「うちの塾の先生の教え方、上手なんだよ。」とは絶対言わない。そんな話を友達同士でしてもつまらない。「うちの塾の教材は…」と、子供たちは言わない。試しにあなたの塾生に「近くの塾でどんな教材を使っている?」と聞いてみるとよい。誰も知らない。唯一知っているとすれば大手塾の教材だ。
大手塾はコマーシャルで教材を流したり、あるいは教材そのものを掲載した分厚いパンフレットを各家庭に配るので、それで子供は見ていたりする。一般の中小の塾の教材とか授業内容とか、子供たちは話題にすることは期待できない。お母さん方も「ねえねえ、聞いて。うちの子ね、あそこの塾へ行ったら成績が32番上がったのよ」とは言い出さない。自分の子供の成績の話は井戸端会議では出ない。つまり塾は口コミしにくい業界、紹介を得られにくい業界である。それにも関わらず、ほとんどの塾が「いい授業をしていれば…」から一歩も前進していない。
大手塾はコマーシャルで教材を流したり、あるいは教材そのものを掲載した分厚いパンフレットを各家庭に配るので、それで子供は見ていたりする。一般の中小の塾の教材とか授業内容とか、子供たちは話題にすることは期待できない。お母さん方も「ねえねえ、聞いて。うちの子ね、あそこの塾へ行ったら成績が32番上がったのよ」とは言い出さない。自分の子供の成績の話は井戸端会議では出ない。つまり塾は口コミしにくい業界、紹介を得られにくい業界である。それにも関わらず、ほとんどの塾が「いい授業をしていれば…」から一歩も前進していない。ではどうすれば口コミを広げることができるか。口コミは自然発生的に起こると考えているうちは難しい。口コミの発生源は塾長自らが務めなければならない。

口コミとは冒頭で指摘したように「塾のことを話題にしてもらうこと」である。塾の指導内容云々というのは、もう、はなから口コミに乗らないと思わなければならない。ところがそれ以外のこと、授業と関係ないことは友達同士で話をする。例えば、塾の玄関に大きなトトロの置物でも置いてみるとどうなるか。「お前の塾の前にトトロがいたぞ。」「あれ、塾長の趣味なんだ。恥ずかしいわ。」それで子供同士話ができる。つまり口コミというのは、いかにその塾の話題―勉強のことでなくていい―を地域の皆さんにしてもらえるか、そこに焦点を当てて考えるのだ。そうすれば、いざ塾を探そうと思った生徒は、今まで名前も聞いたことがない塾よりも、何かと友達同志で話題になっている塾のほうに親近感を持ち、まずそこに行こうとする。そうした話題作りを積極的に実践する必要があるのだ。そして、そのためのツールを用意する。「人は形に反応する」という原則は、ここでも生きている。実際に使用して効果のあったツールには次のようなものがある。
・うちわ(表-既成プリント 裏-塾作成) 塾生が学校へ持っていって話題になる。
・合格お守り 正月に家庭へ郵送
・うさぎの置物
・暖簾(のれん)

ニュースレターの活用

「あの塾は成績が上がるよ」よりも「あそこの先生は、すごく熱心だよ」のほうが口コミはしやすい。なぜならば責任がないからだ。つまり塾を紹介する時に「あの塾、成績上がるよ」と言ってしまって、もしその子の成績が上がらなかったら責任を感じてしまう。だから、そういった不確かなことは言いにくい。しかし、「あそこの塾長は熱心に教えてくれるよ」というのは言いやすい。すると、「熱心に授業をしていれば…」に戻ってしまう塾長がいるが、それではダメだ。塾が熱心に授業をするのは当たり前のことであって、それだけでは評判は作れない。思い出してほしい。「人は具体的な事例を見て抽象的なイメージを持つ」という原則を。

私は会員塾にニュースレターの発行を勧めている。塾の話題を提供して口コミを作り出すためだ。すると、ある塾はA4で32ページのニュースレターを作成した。毎月32ページである。もらった塾生も保護者もびっくりする。あるいは、別の塾は毎月全塾生130名に宛てた手紙を毎月書いている。もちろん、一人ひとり内容を変えて。どうだろう。あなたに真似ができるだろうか。具体的な事例とは、他塾が「とても真似ができない」と思うような、あるいは保護者が「ここまでやって塾長さん大丈夫?」と心配するような圧倒的実践でなければならない。32ページのニュースレターを見て、毎月届く手紙の束を見て初めて「あの塾(塾長)は熱心だよ」と言ってもらえる。「あなたにしかできない圧倒的な事実」を作り出すことだ。

32ページは無理としても、ニュースレターを発行することは口コミを作り出す有効な手段だ。毎月、発行物を作っている塾は多いと思うが、ほとんどの場合「塾からのお知らせ」になっている。これでは意味がない。
では、ニュースレターには何を載せるか。例を挙げると、「塾長先生の温泉めぐり」「私が見た映画ベスト3」「塾長先生の青春プレイバック」何でもいい。塾長が、あるいは講師がどんな人間かが相手に伝わるものを載せる。つまりパーソナルな情報を。ラーメンが好きな方は「塾長先生のラーメン食べ歩き」でもかまわない。ちなみに私が書いているのは、「カンコの受験奮闘記」だ。自分の娘が受験生なので、その奮戦記、家族を含めたドタバタ劇を書いている。すると、会ったこともない娘のことを、塾生も親もよく知っている。卒業生が言ってくる。「先生、ニュースレターだけ読ませて」と。「カンコちゃん、どうなるか知りたい」と。その時点でパーソナルな関係が出来上がっているわけだ。先生はどういう時に怒って、どういう時に笑って、どういう時に泣いて、塾生には格好いいことを言っているけれども、自分の娘にはこんなに弱くて…みたいなことを伝えるのだ。私はこういう人間ですよと。そうすることで親近感を与え、かつ、そういった情報のほうが、はるかに口コミに乗ってくれる。「うちの塾長、温泉好きで、この前連れていってもらったよ。」これは実話である。

繰り返す。口コミは塾が作り出さなければ自然発生的には起こらない。あなたの塾は「何を」「どうやって」口コミを発生させるのか。おおいに頭に汗をかいてもらいたい。

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