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中小塾のためのマーケティング講座(2)
「塾生募集はやめろ!」

森智勝氏

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人の行動原則

商売の仕組みというのは非常に単純な構図で考えることができる。

見込み客を集める。

見込み客を顧客にする。

顧客のリピートを促す。

紹介を得る。

この繰り返しだ。これは塾だけではなく、車を売ろうがラーメンを売ろうが、旅行代理店をやろうが全く構図は同じだ。このサイクルで「客」は動く。当然、一番重要視しなければならないのは、一番最初の「見込み客」を集めることだ。ところが、体力勝負をしている塾は無意識のうちに一番最後の「紹介」から始めようとしている。「いい授業をしていれば口コミ・評判を呼んで、勝手に生徒が集まってくる」と考えているのは、そういうことだ。だから無理がある。紹介を得るには、当然その塾に喜んで来てくれるリピート客、講習を企画すれば必ず受けてくれる客がいなければならない。そうでなければ塾の評判は広めてもらえない。リピート客を得るためには、当然その数倍の顧客が必要だ。たくさんの顧客を得るためには、その何十倍もの見込み客が必要になってくる。それが理屈なのに「紹介」から始めようとするから苦しくなる。どうしてそうなるのか。一言で言って、明確なマーケティング戦略を持っていないからである。戦略を持たない塾は、永遠に体力勝負から抜け出せない。
人間の行動は簡単な原則に基づいてなされている。マーケティング戦略はその原則を理解して立てる必要がある。

行動原則 :人は行動することによって行動意欲を自己発電するシステムを内蔵している。

人は感情(意欲)に促されて行動に移すが、その意欲を刺激するのは逆説的だが「行動」である。

こんな経験はないだろうか。慰安旅行か研修旅行で行った温泉宿に卓球台がおいてあった。若い先生方に誘われて、あまり乗り気ではなかったが付き合って卓球を始める。ところが、数分打ち合っているうちに熱中してしまい、いつの間にか汗だくになってしまった。もう盛り上がってしまい、全員を集めて「温泉宿卓球選手権」などと命名してトーナメント表まで作り出したりして…。

また、受験生だった冬の夜、深夜ラジオを聞きながら勉強していると妙に眠るのが惜しくなり、あと少し、あと少しと頑張っているうちに夜が白々と明け始めてしまった。そんな不思議な夜を何度か経験したことがあるはずだ。

このように、人は行動することによって次の行動意欲を自己発電するシステムを内臓している。このシステムを塾生募集に応用する。

人の行動原則

ほとんどの塾のチラシ・DMは、見出しが「塾生募集」となっていて、それだけで塾生を獲得しようという意図で作られている。しかし、現在の顧客(保護者・生徒)にとって、チラシだけで入塾という行動に出るには余りにもハードルが高い。ハードルが高すぎると、人は跳ぶ前にあきらめてしまう。つまり、電話も掛けてこない。

いきなり入塾という大きな一歩を求めるのでなく、ごく小さな一歩を踏み出してもらうことだ。最初の一歩を踏み出してもらうことに成功すれば、次の一歩を踏み出す意欲が必ず湧いてくる。そのくり返しで顧客は無意識のうちにゴール(入塾)に近づいていく。そこで、チラシ・DMの訴求ポイントを小さな行動を求めることに徹底するのである。具体的には、「問い合わせの電話をかけてもらうこと」に集中するのである。

チラシ・DMを見る→問合せの電話をかける→教室見学→面談→体験入塾→正式入塾。こうした一連のストーリーを塾側が用意・提供することによって、見込み客が無理なく階段を登れるようにする。未来日記は塾が書かなければいけない。

チラシの折込時期は、どの塾も一定期間に集中する。その中で自塾を選択してもらうためには、他塾より圧倒的にハードルを低くすることが絶対条件となる。ハードルの低い(顧客対象にとってリスクの少ない)フロント商品としては次のような企画が考えられる。

(1) 無料体験学習会 (2) 中学準備講座 (3) 学習診断テスト

(4) 無料定期試験対策講座 (5) 個別学習相談会・教育講演会

こうしたオファーを提供すると、「塾生募集」よりもはるかに多いレスポンス(問い合わせ)が集まる。その時は入塾に結びつかなかったとしても、多くの「見込み客」が出来る。以後、定期的にニュースレターを送ったり、特別講習等のイベントを案内することによって入塾につなげることができる。少なくとも、名簿業者から買ったリストで不特定多数にDMを送るよりもはるかに入塾率は高い。ちなみに、最初の問合せから2年後に入塾した生徒の例もある。

考えてもみてほしい。問い合わせの電話すらかけてこない人に、あなたの塾の良さをどうして伝えられようか。それでは入塾を期待する方が間違っている。春のチラシで思うような結果を出せなかった塾は、今すぐ自塾のチラシを広げてほしい。最も目立つ文字が「塾生募集」になっていないだろうか。そこを改善するだけでも反応率は劇的に高くなる。キャッチコピーを無批判に「塾生募集」とすることは、体力勝負をしていることに他ならない。「塾生募集」を放棄した瞬間から頭脳が働きだす。「では、自分の塾は市場に対して何を一番に訴えるべきか。」それを考えることが頭脳勝負、頭に汗をかくということだ。利益は体を動かす8割の時間に作られるのではなく、頭を動かす2割の時間に作られる。

以下に塾生獲得実践の会員が今春の募集チラシに使用したキャッチコピーをいくつか紹介しよう。
・ 「4月になったら頑張る」は本当ですか?
・ 1ヶ月無料体験入塾受付中!
・ 教室移転記念「無料春期講習」
・ 塾を決めるのはまだ早い「間違いだらけの塾選び」
・ 塾を先生で選ぶなら○○塾です
・ ハッキリ言って公立受験なら○○です
・ 30年前に比べ国語力は30%も低下…だから学力は上がらない

塾チラシの反応率が7千枚~1万枚に1件と言われている中、会員塾は「塾生募集」を放棄したことで、1塾平均940枚に1件のレスポンスを得た。結果、昨年比2倍以上の塾生獲得を達成した塾が続出している。

まず、見込み客を集めるのだ。どうすれば問い合わせの電話を掛けてもらえるかを考えよう。そこからあなたの頭脳勝負が始まる。

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